見えないものを見据えられるか

「ルーク・・・あの、それは言い過ぎでは・・・?」
「どっちに対して言い過ぎって言ってんだ?アニスか?それともモースに対してか?」
「それは・・・アニスのこともありますが、モースも少しは・・・」
「あめぇっつーの、イオン。お前とアニスにナタリアはまだ要約すりゃ実際にそこで死んでくれって秘密にされて送り出されてねーからわかんねー部分もあんだろうけど、そんだけやってもいいって思ったからモースもそうだし父上達も動いたんだぞ。ぶっちゃけ今のまんまモース達に俺達だとかマルクトの情報を売ってもそれこそ以降に余計な事を言われる可能性を残すくらいなら、いっそ飼い殺しじゃなく本当に殺してしまえば楽だってモースなら考えると思うぞ・・・まぁお前なら何とか軟禁の強化くらいで済むかもしれねーが、アニスは導師守護役は他にもいるって話だから交代させた方が口封じをさせるよりは楽だって考えるだろ。モースからすりゃアニスに対して思い入れだとか、そんなこいつだけは助けたいみたいな気持ちなんてないだろうってのは分かるしよ」
「「っ!!」」
イオンはそんなやり取りにどうかとおずおずと入るのだが、ルークが甘いとばかりに返していく危険な可能性を聞いてアニス共々に驚愕に目を見開いた・・・それこそモースならこれくらいやりかねないと、嫌でも感じさせるようなリアルな想像を聞かされて。
「・・・ま、聞きたくねーことばっか聞かせたことに関しちゃわりーとは思う。けど今の状況じゃ命惜しさだったりで行動したってその通りになるなんて限らねーから、変に思い付きだったり焦った行動を取るなって事だよ。んなことする奴がいたら俺らも終わりだろうけど、そんな事になったらそいつを助ける奴もいねーんだからな。分かったか?」
「っ・・・うん、分かった・・・」
その二人の姿に一応謝りつつもルークが安易に信じるなとアニスだけに限ってはいないというように言うと、アニスも力なくも頷くしかなかった。反論の余地などないというよう。



(『これでアニスはモースに情報を渡さなくなるか?』)
(少なくてもそう簡単にはモースに情報を売らない方がいいとは考えるような状態には今はなってるとは思う。と言うか前もアニスは自分が言うことを聞けばモースはスパイである内は何も両親を含めてしないって思ってたろうけど、もしモースの思い通りになったとしたならそれからそう遠くない内に色々やってきたことや知ってしまったことの口封じの為に、アニスを殺してた可能性は今だとすごく高かったと思えるんだよな・・・)
(『あぁ・・・用済みだからとかって考えもあってか・・・』)
静かになった場で『ルーク』がルークにアニスのことについて問いかけるのだが、大丈夫だろうと言いつつももしもの事についてを苦く返されたその言葉に同じく苦い気持ちを抱く・・・スパイをしている間は両親を含めて安全だとしても、今の様々な事を知ってしまったアニスをモースが後々の事を考えて放っておく方が有り得ないと。
(アニスはそこの所を無意識で考えないようにしてたんだろうって思う。自分がスパイを続けて無事に解放される時が来ないかもしれないってことを・・・用済みや危険分子だって思われる時が来るかもしれないってこともそうだし、何より両親が助かるって思わなかったらずっとスパイをし続けなきゃならなくなるって考えで億劫になってただろうしな・・・)
(『・・・やっぱ両親の事からか・・・』)
更にルークがその考えに至れない理由についてを口にするのだが、一段と重くなった空気と声に両親がやはりキツいのかと『ルーク』も改めて感じた。両親の事が何よりアニスにとってあらゆる面で重くのし掛かっているのだと。









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