見えないものを見据えられるか

「・・・あのさ、ルーク。少し動かしながらでいいから話をいい?」
「ん?なんだ、アニス?」
そう考え事をしていた時に同じくタルタロスを動かしていたアニスから声をかけられ、ルークは視線を向ける。
「・・・何て言うかちょっと前にも話しててあれって思ったんだけど、普通に今私が呼び捨てで呼んだのに普通にルークは怒ることなく返してたじゃん・・・怒らないの?」
「あ~・・・そういうことか」
そんな中でアニスが少し何とも言いがたそうに呼び捨ての事について切り出したことに、ルークも納得する。確かに口調が気安くなっていることに関してを一切気にしていなかったことに。
「・・・まぁなんつーか、単純にそんなこと気にするような状況や状態じゃねーって思ったっつーか、あぁそうだったっけって今思ったよ。まぁお前が聞きたいのってそれでムカつかないのかとかって事なんだろうけど、ぶっちゃけっと全く気にならねーよ。今となっちゃ尚更にな」
「・・・それって、自分の体の事だったりがあるから?」
「まぁ簡単に言うならな」
それでルークは少し考えた後に自身の考えを口にして行き、アニスの伺うような視線と問い掛けに頷き返す。
「つーか、お前も今俺の事を呼び捨てで呼んでたろ。なのに何で今更そんなことを気にしてるんだよ?」
「あっ・・・それはちょっと、何て言うか・・・アッシュはあんな感じに言ってたけど、ルークはどう思ってるのかって思って試してみようかなって思って・・・」
「それで一回二回って確かめてみたってことかよ・・・俺がそれで怒ってたらどうしてたんだよ・・・」
「あ~っと・・・まぁその時はその時って事で・・・」
「はぁ・・・(・・・ちょっとここでアニスに釘を刺しとくか。何て言うか今のこのままのアニスを放っておくと、良くない気がするしな)」
ただルークからして何故いきなりのその問い掛けなのかと聞き返すのだが、苦笑いで誤魔化すような様子を浮かべるアニスにそっとため息を吐く中で内心の考えを口にしようと決める。
「・・・何となくお前が悪気がねーってのは分かったよ。けどこれから先、あんまり考えなしだったり変なことをしない方がいいぞ」
「えっ・・・?」
ルークはそこで真剣な表情を浮かべて忠告を向けるが、いきなりの言葉にアニスは戸惑う。
「ガイやティアと違ってお前はそこまで迷ってないみたいな感じで決めたけど、お前も一歩間違えたらヤバい立場にあるってのは聞いてるだろ。けど今のお前の感じを見てると、それを考えてねーっていうか自分は大丈夫だ・・・みたいに思ってるんじゃねーかって感じたんだよ」
「そ、そんなこと・・・」
「ジェイドはそんなつもりで言った訳じゃねーと思うけど、さっきバチカルに行った時に俺らの事を明かしたらみたいな事を言ってただろ・・・もしもそうなった時に誰でもそうだけど、俺らの誰でもその情報を売って安心を買おうとしてもその時は良くてもその後が大丈夫だみたいな事は考えねー方がいーんじゃねーかって事だ。特にお前らはモースの事について知ってるんなら、よりその時に大丈夫かどうかなんて分かるんじゃねーのか?」
「っ!!」
そうしてルークがアニスの表向きと裏の立場もそうだが、モースの人となりを口にしたことにアニスは一気にひきつった表情を浮かべた・・・もしもの場合にモースに情報を売ることは考えていたのだろうが、そうしても確実に大丈夫だなどと決まってはいないとアニスも感じただろうよう。









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