決断に判断に行く先と

「それについちゃ俺もおんなじような考えだけど、バチカルでティアに俺らを囮にすりゃいいみたいに言った時にお前は怒ってあのオッサンに敬語とかそんなのも使う余裕もなかっただろ。つーかあれって今思えばって話にもなってくるけど、いくらキレてたしティアの兄上だからって言ったっていつものお前やオッサンとの間柄だったらって考えると不自然だって思うんだよ・・・屋敷であんまり関わってるような姿なんて見たことなかったのに、まるで二人が気安い関係であるような感じが見えたことがな」
「っ!!」
更にここでルークも先の事を思い返すように関係性が滲み出ていた時の事を疑うように口にすると、ガイはたまらず息を呑んだ。あの時は完全にガイの素とヴァンとの関係が露になった瞬間であったことに当人自身も気付いて。
「・・・ということだそうだが、どうだ?話す気になったか?」
「・・・それは、その・・・分かりました・・・ここまで来たので話しますが、確かに謡将とはそれなりに交流はありました・・・ただ屋敷の中で話すわけにはいかなかったので、屋敷に来た後に屋敷を出て時折話すくらいの仲でしたが・・・」
「ほう・・・」
その援護とも取れる言葉にアッシュがどうなのかと聞くと、ようやく観念したようにガイは力なくうなだれながらどういう接触をしていたのかを口にした。アッシュはその様子に値踏みをするような視線を向ける中、ルークは胡散臭げだといった視線と共に口を開く。
「・・・つーかなんでそんなめんどくさい感じに会うようにしたんだよ?屋敷の中じゃ俺らの目があるから人目につかないようにするためにしたって、そこまで隠れるようにして会いに行くって何か訳ありじゃねーのかって思うぞ」
「それは、その・・・何年か前に私の剣の腕に興味を持って話し掛けてきたものの、屋敷の中ではあまり長々と話も手解きも出来ないから自分が来た時は火急の用がないなら屋敷を出て宿で一泊するから、そこに来れば剣を教えると・・・」
「・・・ふ~~~ん・・・(明らかに精一杯の嘘をつきましたって感じの嘘だな・・・)」
(『それもちょっとつつきゃ剥がれ落ちそうって言うか、色々と攻めどころがありそうな嘘だけど・・・屋敷の中で話が出来なかったから外で会ってたのは嘘じゃない感じはすんな。それにお前の所のガイも屋敷の中だけじゃなく時々屋敷を抜け出して会ってたんじゃねーか?』)
(あ~・・・有り得ないとは言い切れないな・・・)
そこから出てきた何故との問いにガイは言葉を精一杯に絞り出しているといった様子で返し、ルークは極めて胡散臭いといったような視線と声を向けつつ『ルーク』と内心で会話しあう。元々いた方のガイも屋敷のみではなく外でヴァンと出会っていたことも有り得ると。
「・・・まぁ気になることはあるが、そういったことからヴァンと関係があったということは納得はしよう。だが俺達に付いてくるということはヴァンと対峙するだけで事が済まず、ファブレとどう向き合うかも考えなければならなくなることは避けられん・・・場合によってはキムラスカやファブレに戻ることなど出来ずに追い出されるばかりか、最悪な場合は父上達に殺されることも有り得るぞ」
「っ!」
そんなルークから話を受け継ぎアッシュは最悪な可能性についてを挙げるが、その中身にガイは驚愕すると同時に強い怒りを浮かべた・・・ファブレを殺すどころか、殺されるというガイにとって最も避けたい上で逆にしたい結果であるために。










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