決断に判断に行く先と

「・・・そういう危機感があるのでしたら、夜に話があると言われたら警戒をしておいてください。そして最悪もしもの事があったなら躊躇せずに行動してください・・・いいですね」
「・・・分かってる」
だからこそもしもの場合はと念を押すようにジェイドは慎重に口にし、ルークもまた苦さを浮かべながらアッシュと共に頷く・・・いくら事情がガイにはあっても、ガイの為に死ぬ気には二人ともなれないために。


















・・・そうして少しして宿に戻った三人はしばらくの時間をゆったりと過ごしていた。一応はティア達に気を使い、部屋に入らないようにとする形でだ。

それで夜になり食事も取り、後は休むだけ、といった時間になった時にルークとアッシュに声をかけてきた・・・ガイではなく、ティアが。



(『まさかガイじゃなくてティアが来るのかよ・・・』)
(確かに予想外だったな・・・)
・・・それで宿から場を変えて夜になって誰もいない街中の広場にて、ティアと対峙する中でルーク達は内心で意外だといったように話し合っていた。ここで来るとは思っていなかったと。
「・・・こんなところにまで呼び出して、俺達に何の話がある?」
「・・・まずルーク、貴方に聞きたいの」
「俺から?」
アッシュは話を進めようと自分から話題を切り出すと、ティアがまずはとルークへ視線と声を向けてきた為に軽く首を傾げる。
「・・・本当に兄さんは貴方に剣を向けてきたの?」
「はぁ?今改めて聞くようなことか?つーかジェイドからも聞いただろ。俺を殺そうとして剣を向けたどころか、振り切ってきたって。なのに何で俺が嘘をつかなきゃなんねーんだよ」
「・・・信じたくないからと言うのもあるけれど、ガイが謡将の事が分からなくなったって言われたから私も本当なのかどうか、確かめたいと思って・・・」
「はぁ?ガイから?」
そこから出たのは改めての確認でルークは今更だろうと言わんばかりの様子を浮かべるが、視線を背けつつガイの名を出してきたことにどういうことかと声を漏らす。
「・・・昼間にガイと何か話したのか?」
「えぇ・・・一人で悩んでいるところにガイが来て、兄さんの事について聞いてきたの・・・私と接していた時の兄さんはどうだったのかとか、何か隠しているような感じはしなかったのかとか・・・」
「それにどう答えて、ガイはどうなった?」
「・・・怪しいと思った時はあったけれど、その時以外はいつもの兄さんで優しい人だったって返すと、そうかって言ったくらいよ・・・」
「・・・何かその声にヴァンと関係があるといったように感じられたか?」
「・・・どうしてそんなことを聞くの?」
「俺の知る範囲でもそうだが、ルークの覚えている限りでもガイはヴァンと深く関わっていると言うか、気を許しあっていると言ったような様子はなかったそうだ。それを踏まえて何故ヴァンの事でガイがやたらと質問し、妙に意識するのか・・・何か理由があるのかと考えたんだが、どうだ?」
「・・・それは・・・」
アッシュはそこからティアにガイについての問い掛けを向けていくのだが、その話の中身にティアは少し考え込んだ様子を浮かべる。
(『なんつーか、話し方がうまいな。ティアが迷ってるってのもあるんだろうけどよ』)
(この辺りはアッシュ自身の王としての経験があるからだと思う。色んなことをアッシュも経験してきただろうしな)
そんなアッシュのペースを作り、落ち着き払って話をする様子にルーク達は感心といった気持ちを浮かべる。改めてこうしてアッシュがティアと話しているその様子が自分達から見て、新鮮な物であったこともあり。









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