決断に判断に行く先と

「・・・最善の結果を求めることは確かに重要なことではある。だが結果にばかりこだわることは時として、軋轢を産むことになる・・・その点でナタリアは自分の気持ちに考えを優先させるきらいがあることに俺は気付かされたんだ」
「・・・それって叔父上や父上達が何か言わなかったのか?」
「勿論言いはしたが、それはあくまでも叔父上達が現役の時であったことに加えて昔は一応ナタリアは王女殿下という身で、立場としては地位はナタリアが下だった。だが俺が王位について叔父上達が現役の位置から退いたことから、ナタリアが意気込むようになった・・・と言うのが叔父上達の言葉だ」
「あ~・・・ナタリアなら確かに頑張ろうとするか・・・お父様達が引退されるのですから、自分がアッシュと共にキムラスカをより良くしていくんだって・・・」
そんなアッシュの話は更に進んでインゴベルト達の話になるのだが、ルークはその中身に確かにと若干口調を真似しつつ納得してしまう。元々からして公務を積極的に行おうとやる気のあるナタリアが、インゴベルト達が歳や立場もあって政治の舞台からいなくなれば一層に張り切るのも当然だと。
「だからというのもなんだが、ナタリアの発言や発案に関しては俺や議会を通してのワンクッションを置いてからでなければ法案を通さないようにというようにした。今言った兵士の行く先を福祉に回すというのもそうだが、それに次ぐ問題点として挙げられていた食糧問題に関してもやらかそうとしていた前歴からな」
「食糧問題って・・・キムラスカって元々マルクトにほとんど輸入に頼ってるって感じだってのは覚えてるけど、もしかしてそれの改善をしようとしたってことなのか?」
「あぁ、そうだ・・・確かに戦争にはならなくなり物価も安定していて食糧をずっと輸入するままでもさして問題ないのではと一時期は思われてはいたが、将来的に見てある程度はキムラスカでも安定した量の食糧を作れた方がいいんじゃないかという話が出てきたんだ。もし何かマルクト内で問題が起きるなりなんなりして、食糧の安定供給が出来なくなった場合にキムラスカが苦しくなることもそうだが輸入に頼らなくなるなら様々な面での得を見込めるようになるという考えからな」
「成程・・・で、そこでもまたナタリアがやらかしたってことか・・・」
「あぁ、そういうことだ・・・」
その上で話はキムラスカの食糧事情についてになり、ルークもそこについてを考えつつナタリアの事を口にするとアッシュはまた遠い目を浮かべる。
「・・・この事に関しては私も多少関わっています」
「えっ?なんでジェイドが?」
「何か専門的な事を行うのには素人が生半可な知識の付け焼き刃のやり方でやるより、専門家の意見があった方が断然にいいのは分かるでしょう。その点でキムラスカとの関係が良いという状況であることに加え、食糧に詳しい方々の護衛にアッシュ達と顔馴染みであり研究にも加われる私がキムラスカに向かうことになったんです。ですので食糧問題についての研究で数ヶ月程度ですがキムラスカにいたんですが・・・私もその時に結構色々言われたんですよ」
「・・・どんなことを?」
「自分の味方として彼の説得をして、無駄な時間を省くようにしてほしいといった中身ですよ。と言ってもアッシュの立場から言わせれば先程言ったことのような感じでしたから、その時は冗談抜きに彼が苦労していると感じましたよ」
「うわぁ・・・」
そこにジェイドが実はキムラスカにしばらくいたとの報告を理由と共に述べるのだが、ナタリアがその時にどんな事をしてきたのかと聞きたまらず引いた声をルークは漏らした。本当に即断即決を好むナタリアからしてみれば、どれだけまどろっこしい間を嫌っているのかを感じられて。









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