決断に判断に行く先と

「ですがあのまま進んで本当のナタリアとの入れ換えが分かったら、彼女の貴方への執着は確実に酷くなりますよ。事が進んで貴方がキムラスカに戻ったら貴方に気に入られなければ色々とナタリアにとって面倒になりますし、インゴベルト陛下を始めとした周りの方々も事が落ち着いたなら貴方とくっついてもらう方がいいと動くでしょうからね」
「それは承知の上で俺も動き、対策を取る。あぁして話をしてみて俺も分かった・・・ナタリアを俺と同等の立ち位置にした上で権力を持たせるようなことにはさせない方がいいとな」
「え・・・どうして権力まで持たせない様にってなるんだ・・・?」
しかしとジェイドはナタリアに対する危惧を口にするが、アッシュが想定しつつ対策を取ると平然と答えるのだが何故とその中身にルークはそこまでになる理由を疑問符を浮かべる。
「・・・以前のナタリアについての俺への態度はお前もある程度は聞き及んでいるだろうが、それ以外の政治の部分については聞いてはいないだろう・・・それを踏まえて話すが、あいつは自分のやりたいこと以外の分野に関しての興味と言うか、やる気がない。いや、自分が必要がないと思うからこの分野に人や金をやらなくていいと考え込むんだ」
「えっと・・・具体的には?」
「ヴァン達との戦いが済んで以降は預言の内容も相まって戦争をしないようにという気風になり、俺が大爆発を終えて戻って来た後に王位を継いで結婚となった頃には基本的に兵隊の役割は各地の治安の維持にたまに現れる盗賊の討伐といったくらいで、パダン平原での戦いやローテルロー橋の戦いのような規模で兵を動かすことはないくらいになっていた。だからナタリアはそういった軍備に金や人員を割くくらいなら別の分野・・・元々から自身がやっていたような福祉を中心として割り当てるようしようと言っていたが、性急に事を進めようとし過ぎた事から俺もだが周りもナタリアを止めるように動くことになった。何せもう兵はそんなに必要ないのだから、その分の兵に金は明日にでもさっさと別の所に回せとどういった風に兵を配置しなおすだとか納得してもらうだとかそういった諸々の問題について、自分がこう考えているのだからこれでいいだろうと言ってな・・・だがそんな急に決まったことをはいそうしますと、言われた側がならないのは分かるだろう?」
「まぁそれは・・・兵士の人達はどう割り振りされるかだとかいきなり兵を辞めさせられるだとか言われたって納得するのかとかあるだろうし、他の受け入れる人達とかもどうやって受け入れるとか働き方を教えるとかあるだろうし・・・あー、色々言うとキリがないな・・・」
「そう、キリがないんだ。そして俺達はそういったことを口にしてナタリアを止めたが、ならちゃんと準備をすれば問題ないではないかみたいに言ってきて、結局は時間があればいいというようにしか捉えてはいなかった・・・民には民の、兵には兵の、将官には将官の、貴族には貴族の、俺には俺の・・・様々な立場の者達の都合や考えを考慮せず、自分が思う最善が誰にとっても最善だと信じて疑わぬ形でだ・・・」
「っ・・・」
・・・そうしてアッシュはいかなナタリアの行動が以前にあったかを話していくが、次第に明らかに疲れているといった様子で遠くを見るような目を浮かべていったその姿に、ルークはたまらず息を呑んでしまっていた。アッシュがどれだけナタリアのことで苦労したのか、それを一端といいう形ででも感じ取った為に。









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