決断に判断に行く先と

・・・それで以降はイオンが重い空気になった為に少しミュウを側にいさせておくからゆっくりとしてほしいとジェイドは言って、ルークと共に街の中の方へと向かった。






「・・・あ・・・」
それで街中に行くと向かい側から現れたアッシュとナタリアに遭遇し、ナタリアが何とも言えない呆けたような声を漏らす。
「何だ?もう話すことは話終わったのか?」
「別に変わったことは話してはいない。どういった風にこの七年間を俺が過ごし、どういった風に俺が考えてこうするに至ったか・・・それらをある程度かいつまんで話した上で、キムラスカに戻ってほしいとちゃんと約束してほしいと言われたくらいだからな」
「それで約束は・・・したようには思えませんが」
「何度も言うが失敗すると仮定するつもりはなくとも、確実に成功するとも限った訳ではないことに易々と約束を交わす気にはならん。ただそう言っても納得しなかったことから話が予想より長くなったんだがな」
「っ・・・!」
ルークがそんな様子に構わず話し掛けてどうだったのかとアッシュに問うのだが、色好い反応をしなかったと共にしつこかったというように要約するその言葉にナタリアはたまらず苦み走ったような表情に変わった。事実は事実ではあるが、ハッキリとアッシュ当人から言葉にされたのを聞いて。
「・・・まぁナタリアの立場から考えれば、確かにアッシュにはキムラスカには戻ってきてほしいのは確かではあるのでしょう。しかしその言葉をどうしても今のうちに引き出しておきたいと言うのはあまり感心出来ませんね・・・もしもの時はその言葉を用いて彼の意思を無視し、自分の元にその身を縛り付けたいと言っているような物ですよ」
「っ!し、縛り付けたいなどとそのような・・・」
「約束と言うのは一種の見えない鎖のようなものです。その鎖を容易く砕き割って約束についてを平然と無いものとする輩は少なからずは存在しますが、彼は貴女を安心させるためにと安易な約束をするような事を避けています。約束をしてほしいという気持ちは分かりますが、そういった事を簡単にしないのはむしろ彼なりの誠意だと思いますし、そう考えないと却って貴女と共にキムラスカに帰る気持ちを失わせる方向に向かわせてしまいますよ」
「うっ・・・!」
ジェイドはそんなアッシュに必要以上に約束を強要しない方がいいともしもの可能性についても添えて言うと、流石にナタリアも口ごもってしまう。アッシュが機嫌を損ねてしまうことを思ってしまい。
「・・・ま、そこについてはともかく話が終わったんだろ?なら適当に夜まではゆっくりどっかでお前も何か考えとけよ。宿に戻ったってどうせ三人が悩んでるだろうしよ」
「・・・はい、そうします・・・」
そんなナタリアにルークが落ち着くようにどこかに行くように言うと、力なく頷いた後にまた街の奥の方に歩いていった。
「・・・かなりアッシュにご執心のようですね。ルークに対してあまり何か言ってくることがないのが気になりますが・・・」
「やっぱりアッシュが近くにいるのが大きいんだろうな。ただその分今のを見るだけでも、アッシュにかかる負担が大きいって思うけど・・・」
「気にするな、元々からを覚悟していたことだ」
その後ろ姿を見つつジェイドとルークは何とも言い難いといった声を漏らすが、アッシュは首を横に振る。大したことはないといったよう。









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