決断に判断に行く先と

「こちらのもそうだが、元々のティアもヴァンに対しての傾倒が強いことは見ていて感じただろう。その点で奴がどうしてそこまでティアに好かれているのかについてを考えてみた結果として、預言の関係無い部分で人を評価して接する部分にあったからだと俺は見ている」
「・・・関係無い部分?」
「現在のオールドラント全体で見てもそうだが、ユリアシティでは特に預言重視の姿勢が大事かに守ることが重要視されているかは見ていて知っているだろう。そう言った何かを基準にした規範を大事にする姿勢というのは子どもの内なら鬱陶しいとは思いつつも、慣れてしまえばむしろ下手にわざわざ逆らう方が面倒だという気持ちになる。成長するにつれて人というのは例外を除き、社会の枠組みに入ることから奔放でいようとすることの無意味さもそうだが、こうする方が楽だといったり合理性があると気付くものだからな・・・しかしそういった四角四面な生活というのは大きな出来事やトラブルが起きないなら、刺激や面白味に欠ける生活を送ることになるのと同義にもなる。そんな環境の中でティアの心境に考えに影響を及ぼさないよう預言についての気持ちは言わず、ただ預言など関係無い部分で一人の人間として預言があることなど関係無いと自身を貫き行動する姿は見る者からすれば魅力的に見えるだろう。それは預言にばかり傾倒して預言だけを実行しようとしてきたモースの姿と対比してみれば、ある程度は理解出来る筈だ」
「成程・・・形式張った預言大事の姿勢に囚われないその姿勢に心意気が、預言だけにこだわる者達に比べて遥かにイキイキしているというように見えること・・・更には預言という判断基準のフィルターを一々介さないありのままの考えを見せてくれるからこそ、謡将に他の人にない魅力があると思わせるといった所ですか」
「そういうことだ」
そこからアッシュが何故ヴァンがあのように人を惹き付けるのかという理由を預言に頼らない姿勢にあると語っていき、ジェイドもその理由を理解出来たというような声を向けたことに頷き返す。
「一応はティアの中には預言が大事という考えはあることだろう。しかしヴァンのその接し方は預言が何より大事で親兄弟と接するにも淡白だろうユリアシティ内での他の家族関係を端から見てきたティアからすれば、相当に尊い物だったことことから市長に向けるのとはレベルの違う情愛を抱いたのだろう。そしてそんなヴァンが世界を滅ぼしかねないことをすると聞いたことから、信頼を裏切られたとでも思って行動をした・・・というところだが、問題はその信頼を向ける度合いがこちらのティアは俺達の知る方より明らかに大きいということだ」
「・・・俺達の知る方のティアは立ち直るっていうか、普通に行動出来てたけど・・・」
「それはヴァンへの傾倒の度合いが低かったこともそうだが、ルークやジェイド達というヴァンを倒すという同じ目的を共にしてきた者達に精神的に寄り掛かれる事が出来たからだ。もしその中でルーク達がいなければティアはとっくに心が折れていたか、破れかぶれと一縷の望みを賭けるといった気持ちを併せ持つような形でヴァンに説得を試みていただろう。世界やユリアシティの住民の為といった気持ちを奮い立たせてな・・・しかし俺達の方のティアはそういった気持ちにはなっただろうが、こちらのティアは間違いなく気持ちは確実に折れると言うよりもうこんなことならヴァンの方に付いていった方がいいと思うだろう。自分や兄とそこに近しい者達と共にいれば問題ないし、その目的が達成されれば誰も他にいなくなるから非難はされない・・・とでも考えてな」
「・・・そんな・・・」
「ただそうさせない存在として我々がいる上で、そんな謡将を殺してしまうならティアが自殺を選ぶほどにおかしくなっても不思議ではない貴方は見ているということですか」
「あぁ」
更にいかにヴァンについて傾倒しているかを二つの世界の立場から挙げていき、こちらの方のティアについてを聞いてルークが浮かない様子を見せる中でジェイドはだからかとまた納得の様子を見せた。









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