かつての想いと変える現在

「俺はファブレの屋敷に行くようにされた後にあのオッサンも度々屋敷に来ちゃいたが、後から屋敷の奴らに聞きゃ以前のようにちゃんとした剣の訓練をするどころか親身にやってた以前の俺・・・つまりは本物のそっちの『ルーク』に対する態度とは比べ物にならないくらいに距離が離れてるってのが明らかに分かるって態度で接されてたんだよ。いくら記憶が無くなったから・・・いや、記憶が無くなったからこそより親身になってやるのが立場を越えた師弟関係のが師匠としての役割じゃないのかって、俺に遠慮するような風でも言われる形でな・・・」
「・・・それでルークは、ヴァンに対して不信感を持ったって事ですか・・・?」
「まぁレプリカ云々ってのはともかくとしても、俺があのオッサンに対して信じることが出来ないって思ったのは事実だが・・・あの坑道の奥で剣を向けられたことにアッシュへの俺に向けるのとは明らかに違う態度と、さっきの話で確信出来たんだよ・・・オッサンの態度はそういった理由だったのかってな」
「・・・辛くは、ないんですか?」
「・・・自分が本物の『ルーク』じゃないってことに関しては正直まだ複雑じゃある。けどそれ以外に関しちゃ納得した上で、まずオッサンの事だとかキムラスカの事だとかをどうにかしてからじゃなきゃ俺のことはどうしようもねーって思ってるんだよ。まぁアッシュに関しちゃこいつが俺にいきなりどうかとかそんなことは無さそうだから、取り敢えずしばらく旅をしながらどうするか話をする予定だ」
「そう、なんですか・・・」
ルークはそこからヴァンに対して思っていたこととと状況についてを口にし、アッシュとのことは大丈夫だろうといったように言うとイオンは少しホッとしたように漏らす。ルークが思う以上に安定しているといった様子に。
「・・・俺としては別にルークに対して思うところはない。俺の身代わりにさせられる役目を負わされていただけの存在であることもそうだが、ヴァンも特に何かを言うことも無かったのでな。ただこうして奴に付いていけないと反旗を翻すことを決めたことから文句の一つや二つは覚悟はしていたんだがな・・・ないと言うならそれはそれでありがたい」
「・・・確かに文句は言われたくはないのは当然だとは思うんですけど、そうしてヴァンの元から離れたのなら貴方はどうするつもりなんですか?アッシュじゃなくなるというならその、ナタリアのこともありますから貴方が本当の『ルーク』に戻ると言うんですか・・・?」
「そこはルークと同じく事態がどういった風に進むかで俺の進退も変わるが、そういったこともあるから俺のことは今まで通りにアッシュと呼んでくれ。現状で呼び分けをすることもそうだが、何より名前は人には重要だからな」
「・・・僕はそれでいいんですが、ナタリアが『ルーク』と名乗ってほしいしキムラスカに自分と戻ってほしいと言い出したなら・・・」
「今言ったような言葉で押し進める。事が済んでどうなるかなどまだ分からないからな・・・それでもと言うなら話は強制的に打ち切る。水掛け論を続けた所で不毛なだけだ」
「それは分かりますけど・・・最後に、貴方にキムラスカに戻るつもりはあるんですか?アッシュ・・・」
「・・・一応は、と言っておく。どうなるかは分からないが、俺がキムラスカに戻った方がいいと思ったならな」
「そうですか・・・分かりました。色々と聞きましたが、二人が気まずくならないなら一先ずはそれでいいと思いますから」
次にアッシュは自身の考えについてを口にしていき、イオンはその中身に時折質問を向けていった後に少し安堵したように表情を緩める。色々とあれど、一先ず二人に険悪な状態が訪れないと言うことに。









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