「驚いているといった様子だが、先の二つの選択肢に比べればハッキリ言ってかなり安全だと俺は思っている。これはジェイドが口添えするかどうかで更に安全度が高まるだろうが、基本的にマルクトで問題行動さえ起こさずに大人しく過ごした上で言い方は悪いがマルクトが攻め落とされる前に被害が及ばないところに逃げ出せば、その時にはある程度時間が経っているのもあり余程元の場所にいた者の元に近付かなければまず死んでいると見られ放っておかれる可能性が高い・・・と言った点もあってな」
「そ、それは・・・」
「・・・確かに言い方は少し気にはなりますが、ガイやティアの立場から考えれば安全でいたいならマルクトで大人しくしていた方が十分にいいでしょうね。謡将達の行動に関してを止められるかはともかくとしても、少なくとも謡将にキムラスカにモース・・・特にモースを信じるなどするより断然に安全でしょう。何せ出会ったら殺されてしまう可能性を考えれば、そもそも会わない場所に行って大人しく過ごしていた方が断然に安全でしょうからね。ただあまり心地よくないのはマルクトが滅びる前に逃げ出せばという点ではありますが、言い方は悪くても戦争に関係無い一個人をそこまで気にする理由などありませんからどこかマルクトの目立たず戦争の影響を受けにくい場所の片隅にでも暮らしていれば、こちらも特に非難は出来ないどころかわざわざそんなことをする手間などその時にマルクトが負けていれば到底ありませんからね」
「「っ・・・！」」
アッシュはその選択がいかに安全かを語り更にはジェイドまでもが少し不機嫌さを滲ませるように補足といったような形で確かなことと口にすると、ガイだけでなくティアもハッとしたように表情を揺らす。確かに言ってることは間違いではないというよう。
「・・・ね、ねぇアッシュ～・・・それってガイやティアだけじゃなく、私やイオン様とかも出来ることなの～・・・？」
「アニス！？貴女まさか、逃げるつもりなのですか！？」
「っ、逃げるも何も今の状況だと全員に関係あることじゃん！なのに二人だけが安全にどこかに行くなんて不公平でしょ！」
「それは「少し黙ってくれ、ナタリア。質問に答える」・・・分かりましたわ・・・」
そんな時におずおずと手を上げ確認するように自分達もどうかと聞いてきたアニスにナタリアは非難の声を向けると勢いのいい返し言葉に自身も激昂しかけたが、割って入ったアッシュの言葉に複雑そうに言葉を引っ込める。
「・・・結論から言わせてもらうなら、死亡したという風にしてそんな暮らしをしていれば誤魔化しがきくのはこの面々では限られている。そしてそんな暮らしが確実に出来ないのは俺とルークとイオンと言った所だ」
「えっ・・・どうしてそうなるの？」
「簡単に言うなら俺とルークにイオンはヴァンのこれからの為に必要な存在であり、ヴァン達は俺達が生きていることを知っているからだ。もし俺達が死んだと言ったようにヴァンに見せることが出来ていたなら話は違っただろうが、そうでない以上は奴らは俺達の事を探しに来るのは確実になる。そして次点はジェイドとナタリアで二人に関しては奴らが何らかの考えから邪魔だと思えば手を出してくるといったレベルになるだろうが、残りの三人は特に何かキムラスカやモース達に取っての不都合な行動を起こしさえしなければスルーされる可能性は高いだろう。ヴァン達はまだしもキムラスカやモース達には適当な理由をでっち上げて死んだとでも言えばすぐに信じる形でな」
「じゃあ・・・私達三人は、マルクトに逃げればそんなことにはならないってこと・・・？」
「表向きは死んだとして派手な事を何もしないならという前提になるがな」
「「「・・・っ」」」
その上でアッシュが要約して三人は大人しくしていればまず無事でいられるだろうと言う答えを返したことに、その三人は揃って複雑さを顔に浮かべてしまっていた。確かに安全ではあるのだろうが、各々の立場として色々思うところがあるために。









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