かつての想いと変える現在

「ナタリアに関してはまた別の問題になるが、導師と導師守護役の二人はそもそもアクゼリュスに行けと派遣された訳ではないからまだいいだろう。だがお前達二人に関してはまず間違いなく今言った二人と同じようにアクゼリュスで死ぬようにと願われてキムラスカ、そしてモースに送り出された・・・そしてヴァンが表向きとは言えどのような役割で共に送り出されたのかの真実を知ったのだというなら、普通に考えればお前達がバチカルかモースの元に無事な姿で戻ってくるなど認められる筈がない・・・その理由は預言の中身を知ったこともそうだが、それを周りに広められることなどを避けるためが主な理由だ」
「っ!・・・で、では・・・ここからどうにか無事にキムラスカに戻っても、私達は殺されると・・・!?」
「今のままならそうなるが、モースからの命令を内密という形で反故にしてティアを助けようとしたことからそれがより強調されているのも分かるはずだ」
「っ!」
「っ・・・」
アッシュはいかにキムラスカにモースが本気かを語った上でヴァンのことを口にすると、ガイは歯を力強く噛み締めて表情を歪めてティアは少しホッとしたような様子を見せる。
「・・・ヴァンの気遣いに安堵の様子になりかけているところだが、奴がどんな行動を取ってきたかに取っているかは今の話だけでも分かるだろうに何故そんな顔が出来る?奴はキムラスカの兵士を皆殺しにし、俺達の入れ換えを行いマルクトは元よりダアトやキムラスカにすら隠れて行動を起こしている・・・オールドラント全てを滅ぼさんとする形でだ。それが表に明らかになるかならないか以前にもう奴はいかにお前にとっては優しかろうが、もう犯罪者以外の何者でもない。それも世界全てを壊さんとする大罪人だ」
「っ!!」
だがアッシュがそんな安堵をぶち壊すように口にしたヴァンの事の数々に、ティアは再び表情を青くしてしまった・・・自分だけでも助けようとした兄だが、もう善人だ等と呼べないレベルとは程遠い罪を重ねているのだと改めて認知させられ。
「・・・ティア、お前の中にはもしも何かがあればヴァンの元に行けばいいといった考えがあったのは見て分かる。それにガイ、お前はお前でキムラスカにもそうだがどこかヴァンに関して何らかの考えがあるのは見て取れる・・・ただどちらにも言えることとしてはヴァンを信じると選択しても裏切られる可能性が高いということは今までの話で分かっただろうし、奴に俺から聞いた話について止めてくれといったところで聞きはしない可能性の方が高い。もしその時に奴は良くて軟禁程度で済ませ、最悪はそれこそ言うことを聞かないなら内密に殺すといった処置を取るだろう」
「わ、私にも!?」
「それだけ奴は本気だと言うことだ。そしてもし奴の神託の盾に連れていかれていたなら、言うことを聞かないばかりか反抗までしたならそうなっていた可能性は高いだろうな」
「っ・・・!」
アッシュはそんなヴァンへの想いは当人とは違う上に相当決意は固いといったように告げ、ティアは自分にも手を出す事を厭わないといった返しにブルブルと体を震わせてしまう。兄が自身を殺すことも有り得たという言葉を聞いて。









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