かつての想いと変える現在

「ヴァンの元に行ってから七年近くになるが、全てが全て順風満帆と言った訳ではなかった。こうして六神将のアッシュとして呼ばれるまでに様々な事があったがそこについては重要ではなく、この話で重要なのはそんな状況にあっても、預言に詠まれた死を受け入れたくないと思った上でキムラスカを信じられないと思ったのもあって俺は耐えることが出来た」
「なっ!?何故キムラスカを信じられないなどと!?」
「・・・成程。少なくとも貴方が謡将に連れていかれていった時には、既にキムラスカはその預言について知っていた上でかつ、貴方を犠牲にすることを選択していたと言うことを聞いたのですか」
「その通りだ」
「っ!?」
それでアッシュが当時の事を語る中でナタリアはキムラスカを信じられないことに何故と叫ぶが、ジェイドが静かに考察した言葉に肯定を返したことに驚愕の表情を浮かべた。
「ナタリア。お前は嘘だと言いたいのかもしれないが、そもそもを考えてみろ・・・次代のキムラスカ王となるのは年齢的な意味で言えば『ルーク』以外にいない。そんな替えのきかない大事な筈の存在をいくら預言だからとは言え、昨日預言にこう詠まれていましたから『ルーク』を見捨ててください・・・そう言われて父上や叔父上達があっさりと頷くとも、ましてや脅しに屈するような人物達だと思うか?」
「そっ、それは・・・あの二人がそんな話をあっさり頷くどころか、脅しに屈するなど有り得る話ではありません・・・」
「そうなる、と思うだろうがそれだけではない。それこそバチカルを出立する前日かそれに近い日に話をして仮に頷いてもらったところで表情に出されてしまうなど、何らかのヘマから事が露見しかねん可能性を考慮してだ。マルクトがアクゼリュスの事から救援の為に和平を申し出てきたことに関してはあくまでも偶然から利用しただけだろうが、裏を返せばそうだったなら思い付きでモースが叔父上達に話をしたことになる。そしてその時に叔父上達が即刻で頷くなど有り得る筈がないのは今言ったような理由からになる・・・だからダアト、いや預言の中身を知るモースを筆頭とした奴らは事前に話をキムラスカにしていたんだ。その時に聖なる焔の光がどのような理由でも行かないといった事態になることを防ぐため、預言にこうあるから『ルーク』をその時には死ぬことを承知で派遣してくれとな」
「まぁ確かに現在のキムラスカにとって貴重な王族を無為に簡単に見殺しにしろなんて言われて、簡単にキムラスカが頷く筈がありませんからね。だからそれを納得済みで行動をしてもらうため、早めに話をしていたということでしょうが・・・おそらく『ルーク』という存在が産まれた前後から話はされていたのでしょう。この子が預言通りに死んでキムラスカとマルクトが戦争をすれば繁栄が訪れるのだからと、大の為に小を切り捨てるのですといったようにその他諸々を含め説得する形でね」
「「「「っ!」」」」
そんなナタリアにアッシュは話を続けてジェイドも補足のような形の推測を口にすると、ナタリアだけでなく他の面々も驚愕に呆然とした様子になる・・・いかにモース達がキムラスカに預言通りにさせたいのかにそういった話を進めてきたのかが、真剣に考えた上で行動をしてきたのかが分かる話であった為に。
「だがそこでモース達のやっていることに従いつつ、裏で行動してきたのが・・・ヴァンだ」
そしてそこまで話をしてあっは改めてヴァンへと話題を戻す。自分の目的の為に裏で行動してきた存在に。









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