焔の存在を幻想にさせぬ為に

「・・・お前の力もそうだし、話の中身から考えても作り話としてはあまりにも出来すぎている。そして俺としてはルークの事を助けられるなら助けたいとは思うが、最後に一つ聞きたいことというよりは頼みたいことがある・・・それはルークと話をさせてほしい、と言うことだ」
「話、ですか」
「・・・そうですね。ここまで来たからにはルーク本人と話をしたいところです。アッシュが言ったように嘘ではないというような考えは確かに浮かんでこそはいますが、どうしても今一つはいそうしましょうと頷ききれませんでした。本当にルークが存在しているのかどうか、話に聞くだけでは信じたい気持ちと信じられないといった気持ちがせめぎあう形になってです・・・ですからそういった気持ちをどうにかするためにも、ルークと話をさせていただけませんか?」
それで少しして出てきたアッシュからのルークと話がしたいとの要望に、ジェイドもアッシュの分も代弁するように補足と自身の気持ちを合わせて要望を口に出すと、紫は扇子を手元に戻して口を開く。
「そう言われると思っていましたので、ルークはスキマの中に呼んでありますわ。ただしいくつかお聞きしたいことに言わねばならないことがあります」
「何だ?」
そんな答えは予測していたとルークを呼んでいる事を口にする紫だが、言わねばならないことがあると言葉にしたことにアッシュは何をと返す。
「まず一つは先程も言いましたよう、今のところルークは幻想郷の中でしか安定して存在する事が出来ない状況でありスキマの中にいれるのも私の能力の影響があってのことです。ですので会話をする際は彼にこちらに降り立つような事を言ったり、無理に引き込むような事はやめてください。彼にもスキマの中から出ずに話をするようには言ってありますので」
「それは仕方無いが、他は何だ?」
「ルークと話をすることは構いませんが・・・ニュアンスとしてはルークと話が出来たなら余程の事がなければ、貴殿方は協力していただけるものと見てよろしいですか?」
「・・・そうだな。今更話を聞くだけ聞いてそれで終わりだなどと言う気になどもうなれないだろうな」
「えぇ、私も同様です。それにティア達には協力を頼まずにというのも呑みたいと思っていますし、ルークをそちらの幻想郷にまた戻すのも良しとします・・・この三十年でガイは勿論ですが、時折会うこともあったティアの姿を思い出せば例え平行世界のオールドラントと言えどもルークが大丈夫だなどと言えるとも思えません。それどころか平行世界だからこそより状況が悪くなることもまた十分に有り得るでしょうし、幻想郷という場所でうまくやっていて戻るつもりではないという以上は無理に戻さない方がいいでしょうし、私達だけで事を為した方がよろしいでしょうからね」
「貴殿方にそう答えていただけて幸いですわ」
まずはルークに接する注意点を挙げた上で協力をする気があるかないかの確認を取る紫に、アッシュとジェイドが二人ともに提示された条件で協力はすると答えるとニコリと笑みを浮かべて手を何もない空間の方へと上げる。そしてそこに先程開いたスキマ空間が姿を現した。
「「ルーク・・・!」」
「アッシュ・・・ジェイド・・・!」
・・・そしてその中にいた人物の姿を見た瞬間二人は反射的に声を上げ、中にいた人物もまた声を上げた。三十年近くの時が経ったにも関わらず、エルドラントでの時と姿形の変わらないルークが・・・


















幻想より形となりし焔



焔は再び困難へと向かう



自らの身体と自らのいた故郷と異なる故郷を再び変えるために・・・



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