かつての想いと変える現在

「ただむしろあの姿を見た後だからこそお聞きしますが、謡将に関して貴方は前のあの方よりは気兼ねなく攻撃は出来ますか?」
「・・・まぁあんな姿を見せられても師匠は師匠だとは思ってるけど、確かに少しは気兼ねは無くなってはいるよ。ただジェイドがいる中でどういった行動をする気なのかだけど、まず強引に来そうな気がする・・・暗示の発動をさせればどうにかなるっていうか、ろくに話もしないままにやるって。ただジェイドはその時距離を取ってないと不意打ちを食らう可能性は高いと思う」
「不意打ちですか。まぁ妥当ですね、謡将なら私に下手な横槍を入れられる事に関して警戒するでしょう」
そんな二人はパッセージリングの操作盤の前に来た時の事についてを話し合うが、共にヴァンに取られるだろう行動についてろくでもない事になるだろうという話になる。
「・・・どうする?ジェイドの安全の為にもそうだし、師匠を泳がせるためにもジェイドは少し離れるか?」
「いえ、私もその場にいます。謡将が貴方を襲ったと言っても特にティアは貴方を信用しないというか、極論として貴方が何かしたから兄さんは襲ったんじゃないかに貴方が錯乱しているとか言いかねない可能性を私は危惧しています」
「あ~・・・無くはない、って言えないのがどうもな・・・」
「それに私も襲われたと言った方が信用はまだ得られるでしょう。一人より二人と数の問題もありますが・・・何よりあの時に貴方の事を見下し、見放したようなことを繰り返したくないんですよ。貴方は自分のせいだと言うかもしれませんが、今こうして貴方と共にいる以上は・・・ね」
「ジェイドっ・・・」
ルークはそんな状態に解決案を出すが、しない方がいいと言うと共に切な想いが込められたジェイドの言葉にルークは粟立ちを覚えて身を震わせる・・・自分がこう答えるであろう事を加味した上で、自分の為に動いてくれるという気持ちを確かに感じて。
「ですのでこのまま二人で行きましょう。それにアッシュもそろそろイオン様を連れてこちらに来るはずですから、あまり悠長にしていると逆に謡将が何を企んでいるかをティア達に晒すのが難しくなります。ここで立ち止まるわけにはいきませんよ」
「っ、分かった・・・行こう、ジェイド・・・!」
そしてジェイドが考えている暇も立ち止まる時間も惜しいと言ったことに、ルークも覚悟を決めて先を見据え歩いていく。もう二人で対峙することに迷いはないと。






・・・そうして少しして二人はパッセージリングの操作盤の前にて待機しているヴァンの所まで来た。
「・・・なんだここ?結局ここに住んでる奴なんかいなかったけど、ここって何かすげぇ場所っぽく感じるんだけどよ・・・」
「確かにそうですね・・・何の意味もない場所にしてはあまりにも異質すぎます」
二人はそんな中でヴァンに話しかけているようでいて、何も知らないといったように辺りを見回す。かつてよく見てきたはずのその光景に戸惑っているかのよう。
「・・・少々よろしいですか、大佐?」
「・・・何でしょうか?」
「私もこの場に関して少し疑問に思ったので調べていたのですが、この譜業らしきものが目につき何かと思っていたのですが・・・譜業について知識があるならこれを調べていただけませんか、大佐?どうにも私はこの手の物には疎くて調べるにしても、どう手をつけていいか・・・」
「・・・分かりました、調べてみましょう」
そんな様子にヴァンが少し困っているといったように操作盤の方に視線を向けてジェイドに調査を頼むと、少し間があったがすぐに頷く。









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