かつての想いと変える現在

・・・それで二人は坑道の中を迷うことなく進んでいく。ヴァンのいるであろう場所まで。






「・・・あっ、いた」
「・・・二人、だと?」
そうして坑道の奥に行くと案の定ヴァンがセフィロトの封呪の扉があった場所にいたため、ルークが普通に指を指しながら近付くとヴァンは少し眉を寄せる。
「どうなされたのですか?」
「いえ、ティア達はどうしたのかと思って・・・」
「貴方を見付けるために手分けして坑道に入ったんですよ。と言うより何故こちらにいるんですか?」
「いえ、最初は私も外で待機していようと思ったのですが・・・アクゼリュスの人々の姿が見えないので色々と探していたんです。ただどこを探しても見付からなかった所に二人が来たので・・・」
「それは分かりましたが、何故ここで立っていたのですか?見たところ先があるように見えますが・・・」
「っ・・・」
十分に近付いた所でジェイドがヴァンに話し掛けていくのだが、場に留まっていた訳を聞かれて少しだけ口元をヴァンはひきつらせる。
(『明らかに計算外って顔しそうになってたよな』)
(色々予定外だったんだろうな、ここに来るまで・・・でもまぁ後少しで目標が達成出来るんだから師匠がやる選択って言うと・・・)
「・・・少しこの先を見たんですが、ここまでの坑道と違う光景が広がっていました。それでここに戻ってどうしようかと考えていたのですが、貴殿方が来たのならちょうどいい・・・少し私と共に先に様子を見に向かいませんか?もしこの先に誰かいるのならそれを調べに行かないわけにもいきませんからね」
(・・・やっぱりそれらしい言い訳をつけて先に行こうって切り出したか・・・)
『ルーク』もその表情の変化に気付きルークはどうするのか予想を立てると、さも自分も迷っていたからちょうどいいといった様子でヴァンが同行を願う様子に予想通りと内心で漏らす。もう少しで予定通りになるのだから、多少の事は構わず強硬する姿勢を見せたその姿勢に。
「・・・私は構いませんよ。このアクゼリュスには住民の方々の救助に来たわけですからね」
「・・・まぁ誰かいるんなら行っといた方がいいだろうし、行っとくか」
「決まりですね。では行きましょうか」
(『・・・さて、どうなるか・・・』)
そんな声にジェイドもルークも少し考えたといった間の後に頷き、ヴァンが早速と先に歩みを進めるその姿に『ルーク』は少し不安げな声になる。二人がヴァンの企みについては知っていても、どうヴァンが動くかが分からないということに対して・・・


















・・・そうして二人は先に進んでいったヴァンの後を付いていく形でセフィロトの中を進んでいった。だが・・・
「・・・ここまで来るといっそ清々しくすら感じますね。おそらくというかまず間違いなく我々二人だけだからでしょうが、こちらの事を一切気にかける様子が見えません」
「そればっかりか、俺には会話らしい会話すらしようともしてくれちゃくれない・・・本当に俺と一緒にいるのも嫌なんだな・・・」
ジェイドとルークは前方にヴァンの背中を見ることなく、ただ本音で何とも言い難い気持ちを浮かべながら話しつつ歩いていた。とっとと自分達に気を使わず先に行ってしまってることもそうだし、ルークに到っては会話に視線すらまともに向けてはこなかった事に対して。









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