焔の存在を幻想にさせぬ為に

「貴殿方もそうですが、その仲間達の事は当然調べてきました。ルークの話の中に出てきた貴殿方について、肉体を得させる為に協力を願える人物達かを・・・ルークは貴殿方に協力をしてもらうことに気が引けているという様子でしたが、私から見ればルークの肉体を得ることに関してはまず協力が得られるのは確定はするでしょう。ですがそれは肉体を得られることに関してで、貴殿方以外の面々はルークを幻想郷に返そうとするようなことはしないでしょう。折角自分達の元に戻ったのに、何故そんな得体の知れない所に戻さなければならないのかと・・・まるでルークが自分達の元に戻ることが当然だというように言う形でです」
「・・・ちなみにお聞きしますが、ルーク自身の意志はどうなのですか?」
「このオールドラントの経過についてを聞いた上で、幻想郷にいた時間が長いのもあってもし肉体を得たとしても自分はオールドラントには戻らない方がいいという気持ちになっています。それにその平行世界のオールドラントのことを落ち着かせたとして、ルークの居場所があるかどうかはハッキリ言って微妙と言わざるを得ないでしょう・・・貴方がルークの存在を無いものとしたように」
「・・・そうでしょうね。その平行世界の過去がどれだけ変わっているかは分かりませんが、元々ルークはレプリカという身体から立場的なハンデを大きく背負っています。それを知られるか知られないかで大きく差は出るでしょうが・・・ティア達の考えからしてアッシュをルークと共にいさせるため、そういった事を考えることなく行動を起こすでしょうね・・・」
紫はまずティア達では幻想郷に戻すことは考えないだろう事を口にし、その上でルークの立場までもを悪くするだろうと言った後に意味深な目線を向けるとジェイドは否定を返せなかった。かつての仲間を悪く言われているが、そうしてしまうだろうことの可能性の方が高いだろうと。
「そうです。そしてそうなったなら事態が難しくなっていることには目を向けずティアとルークを結婚させようとして、ルークの意志は照れ隠しであったり時間が経てば慣れるといった言葉で押し流そうとする事でしょう。そして結婚したとして何かあって思う通りの結果にならない場合に文句が通るのはティアの方からの言葉だけで、ルークの言葉は封殺されるのがオチだという光景は容易に想像が出来ます・・・今のルークは幻想郷に来てそれなりの経験に知識を身に付けている為に簡単には流されないとは思いますが、貴殿方に対しての想いはまだ十分に残っていますから」
「そして流されてしまえば、ルークの不幸はまず確実な物となる・・・という訳か」
「えぇ。それに貴殿方の方が理解されているでしょうが、危惧されている二人に関しては望外の喜びになりうる千載一遇の機会です。今までの三十年の分を爆発させるよう、決して幻想郷になど返さないと私を敵と見なし貴殿方も巻き込んで行動を起こすのは目に見えています。そうなれば私も先程言ったようにルークを戻すための理由がありますから、彼女に貴殿方と敵対することになるでしょうがそんな事をすればルークの心象が下がるのは避けられませんから、私は危惧されている二人に残りの二人に関しては話をするつもりはありません」
「・・・そんなティア達と違いお前の思う通りに協力してくれるだろうと判断されたのが、俺とジェイドというわけか」
「えぇ。貴殿方なら私の話に乗ってくださると思いましたので、こうしてお話をしに来たのですが・・・ここまで聞いて、協力していただく気になりましたか?貴殿方二人だけという条件も込みでです」
「「・・・」」
その上でいかにティア達を組み込まずにアッシュ達に話をしに来たのかを語り協力するかと扇子で口を隠しながら問う紫に、二人は揃って表情を悩ましげに歪ませる。










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