行くべき先と決める決意

「まぁそういうわけだから、人が見てない所でくらいしか空は飛ばないから勘弁してくれよ?流石に人前で堂々と飛ぶわけにもいかないから、何か人の目が無いとこだったり余程追い込まれるようなことがなかったら飛ぶことはしないからさ」
「まぁそれは構いませんが、貴方が飛ぶような事態になる時が来ない方が良いとは思いますね。ただラルゴとリグレットの二人を倒したことから罠を仕掛けてくるような存在は残りはシンクにディストと謡将と言った具合になりますが、謡将の暗示に関して貴方は大丈夫なのですか?」
「あぁ、そこは問題ない。紫が暗示に関しちゃもう解いてくれたからな」
「そこで紫、ですか・・・本当にあの方一人で何でも出来るんですね」
「まぁそりゃ妖怪の賢者だからな」
そうしてゆったりとした会話を交わす二人の中で紫の事が出てきたことに、共に笑顔を見せるがジェイドは表情を引き締める。
「・・・改めて思いますが、彼女と同じ能力者はいないにしても似たように何らかの能力を持っている者達と交流して暮らして来たんですよね。ルークは」
「まぁそうだけど・・・いきなりどうしたんだ?」
「・・・紫程の者はそうそういないにしても、怖くはなかったのですか?それだけ危険な能力者ばかりがいて、自分にその矛を向けてくるのではないかという考えを抱かなかったのですか?」
「あぁ、そういうことか・・・」
ジェイドはそんな表情から確認するよう恐怖についてを聞き、ルークはその質問に納得しながらもどこか遠い目を浮かべる。
「・・・そもそものことを言うと俺が幻想郷に流れ着いた場所ってさ・・・白玉楼っていうとこなんだけど、そこって厳密に言うとあの世って言うか死後の世界みたいな場所なんだ」
「死後の世界・・・?」
「厳密に言うとちょっと色々説明しないといけないけど、幻想郷だから空を飛べる存在なら行き来が出来るような場所にあると思っててもらえばいいけど・・・白玉楼に流れ着いて幻想郷の説明と共にどういった場所なのかって聞いた時、怖いとかってより俺はもうあの世にいるんだって受け入れてたんだ。師匠を倒して崩壊するエルドラントの中で息絶えたアッシュの体を抱き上げながら、自分の体が徐々に消えていくあの時の事を思い出すと、とても俺は生きて白玉楼にって言うか幻想郷に来たんじゃないんだろうなって思ってさ・・・」
「・・・貴方の立場に今の話を考えれば、確かに自分が死んでその白玉楼に行ったと勘違いしてもおかしくはなかったでしょうね」
「あぁ、実際俺はそう思った。けど紫達が調べた結果として言うなら、俺は死んでもいないし生きてもいないって状態だった・・・その時には幻想郷の事については聞いてはいたけど、危険人物がどうとか能力がどうかなんて気にしてられるような状態じゃなかったんだ・・・例え俺が幻想になったルークであって本当のルークじゃないにしても、俺はこうして生きてないにしても死んでないにしても存在していていいのか、もし望まれるなら俺は死んで償いをした方がいいんじゃないか・・・みたいな考えが頭の中でグルグルずっと反芻してて、幽々子とか他の誰かの能力とかに気を向けるとか怖いとかって思うことがなかったんだよな・・・」
「・・・そうですか・・・」
・・・そうして話を始めたルークだがその中身に、ジェイドも複雑さを滲ませた声を漏らすしかなかった。確かにルークは本音で話をしているが、その中身はあまりにもジェイドからしても重いものであってルーク自身辛いと思っていた時の感情や記憶をそのままに話していたことが分かるために。









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