行くべき先と決める決意

「今後の事を考えれば、リグレットは先に倒しておくべきです。それもティアが見ていない内に」
「・・・まぁ気持ちは分かるよ。師匠の事もあるのに、リグレットを先に喪ったらティアがどうなるか分かりにくいし・・・ただリグレットがティアがいない状況で現れてくれるかどうか・・・」
「彼女の性格を考えれば、我々を始末した後でティアに顔を見せ説得すれば良いと考えると思いますよ。まぁ出てこないなら出てこないにして、少し偵察と二人で話をしてきたといった程度にティア達に話をするくらいに収めておけばいいでしょう」
「・・・そういうことなら早目に行くか。あんまり時間をかけても怪しまれるだろうし」
「えぇ、では行きましょう」
それでジェイドとリグレットについて話をするルークだが、問題の解決を優先するべきと苦い思いを感じながらも早く行こうと切り出し二人は峠の先へと向かう。


















・・・そうして以前リグレットが現れた地点にまで来た二人。
「・・・どういうことだ?何故貴様ら二人だけでここまで来ている?」
「・・・少し偵察がてら話をしようと来ただけなのですが、ここで貴女に会えるとは思っていませんでしたよ。リグレット」
「ふん・・・!」
そこに以前と同じように崖の上から姿を現したリグレットにジェイドが空々しく答えると、不敵な笑いを浮かべてから崖を飛び降りリグレットは二人に向け銃を構える。
「二人だけでここまで来たのが運の尽きだ・・・ここで死んでもらうぞ!」
「運の尽き、ですか・・・残念ですが、それは貴女の方です」
「何・・・っ!?」
‘ザンッ!’
「ぐぁっ・・・!?」
リグレットは自信満々に二人を殺すと宣うが、ジェイドの言葉の後に勢いよく踏み込んだルークの剣の振り払いの一閃により腹部に一文字の斬撃を受けた。
「・・・くっ・・・!」
「逃がしませんよ・・・エナジーブラスト!」
‘ドォンッ!’
「ぐぁっ・・・!?」
不意に受けた一撃が深かった事にたまらず後ろに跳んで後退するリグレットだったが、逃げ場所を予期していたといった様子のジェイドの放ったエナジーブラストがリグレットの後頭部付近で炸裂し、体勢を崩したリグレットは為す術もなく地面に倒れ付した。
「・・・どうです?予想外の衝撃で頭に視界がグラグラと揺れているでしょう。即席で狙ったにしては効果は抜群だったようですね」
「ぐっ・・・!?」
そんなリグレットに悠々と近付きジェイドは話し掛けるが、睨み付けようとはするもののまともな声は出ずに苦痛にくぐもった声しか出なかった・・・脳震盪を狙って敢えて後頭部付近に発動させたエナジーブラストの効果は確かだというよう。
「・・・こうして我々に襲い掛かって殺そうとしてきたのです。貴女もそうなる覚悟は出来ていますね?」
「なっ・・・ま、待・・・!」



‘ズブッ’



「ぁっ・・・!?」
・・・そして間を持たせずジェイドが槍を出現させ冷たい声を向けたことにリグレットは待ったをかけようとしたが、背面から槍で心臓を突いたことにより声を上げて少し痙攣した後に動かなくなってしまった。
「・・・これでリグレットは死んだ、か・・・」
「えぇ、間違いなく。後は彼女の死体を少し見えない所に隠します」
「あぁ、それは俺がやるよ・・・あの崖の上に置いてくるから」
「っ・・・話には聞いていましたが、本当に空を飛べるようになったんですね・・・」
「あぁ、幻想郷で自由に動き回るなら必要なことだって言われて会得したからな・・・」
ルークはそこに近付き少し沈痛な面持ちを浮かべジェイドが死体の後片付けを切り出すと、おもむろにリグレットの体を抱き上げ宙にルークが浮かんだことにジェイドは目を見張る。本当にルークが飛べるという姿を目にした驚きで。









.
12/16ページ
スキ