行くべき先と決める決意

(『つーかあんな風にティアに言えるって改めてすげぇな・・・俺だったら確実にキレてたろうけど、やっぱこの辺りは人生経験の差ってやつか・・・』)
(まぁ自分で言うのもなんだけどな・・・最初はまぁなんつーかって感じだったけど、幽々子とか紫達を相手にしていってると自然と慣れていくって言うか慣れるしかなくなっていったからな・・・幽々子はまだ一緒にいる時間が長いから色々分かるようになってはきたけど、紫とか大抵の幻想郷の実力者達は余裕綽々って感じで自分は不満ありますなんて風な姿なんて見せない癖して、色々ボロクソだったり言葉遊びみたいな意味深なことばっかり言ってくることなんか普通だし・・・最初は戸惑ったけど、今となっちゃティアがあんな風に弱ってるのもあってむしろ分かりやすいから別にいいかなって感じに思えるようになったな)
(『・・・どんだけ幻想郷すげぇ奴らばっかなんだよ、あのティアがそんな風に思えるなんて・・・』)
(実力者は美女ばっかだけど、癖がない奴がいないとこ)
(『簡潔だけど、それで済ませていいのかよ・・・』)
そんな中で『ルーク』が改めてルークの冷静さに感心をするのだが、何てことなさそうに幻想郷での人間関係やどういう人物達の集まりかを答えられてなんとも言い難い声を漏らす。



「・・・ルーク様」
「ん・・・何の用だガイ?」
そうしていたところに今度近づいてきたのはガイで、何かを伺うような様子にルークは平然を装い用向きを問う。
「先程ティアと何かを話されていたようですが・・・何を話されていたのですか?」
「廃工場でのナタリアとジェイドの態度が気になったのと、あのオッサンから言われたことがあるから自分がどうしていいか分からない・・・簡単に言えばこんなとこだよ」
「オッサン、ですか・・・」
「ん?なんだよガイ、お前も何かあのオッサンに関して思うことでもあんのか?」
その用向きはティアの事についてでルークは平然といったように返すが、そこでガイが複雑そうな様子を見せたことにどうしたのかと首を傾げてみる。
「・・・今まで謡将とはファブレの屋敷に来る際に少し話すことがありました。そういったことから謡将のことについては少しは聞いてきたつもりですが、先のカイツールでティアと会った時とバチカルの件・・・そこで見せていた謡将の顔が、私の知る謡将と違っていたことから戸惑いを覚えたのです。あれが本当に私の知る謡将なのかと・・・」
「ふ~ん・・・(ガイもガイで違和感を感じてたってところか、師匠のあの姿に)」
ガイはそうしてどこか遠慮気味と言うか何かを隠そうとしているかのようにしながらもヴァンに対する気持ちを複雑そうに口にしていき、興味なさそうに声を上げつつルークはその理由に見当をつける。ガイの中でヴァンに対する違和感に疑念が膨らんでいるのだろうと。
「・・・つーか話を聞いてたって言うけど、オッサンからティアって妹がいるとかとまでガイは聞いてたのか?」
「え・・・一応は聞いていましたが、あのような性格に考え方だとは・・・」
「つまりはそんなもんだってことだよ・・・俺があのオッサンの事を謡将だとか敬称を使って言わないのはあのオッサンから記憶を失ってから雑に扱われてるっつーか、大して可愛がられてる感じもろくに話しかけてもくれねーから別にいいって思ってるからだ。実際の話として言葉にして返さなくてもいいからあのオッサンが俺の事を大切に思ってるだとか、ちゃんと俺に接してるだとかって感じるか?」
「・・・それは、その・・・」
ルークはそんな考えからヴァンについての話を切り出すのだが、自分への態度はおざなりだったろうというように聞かれてガイはたまらず口ごもってしまう。今の状況もあるが、流石にはいそうですとはガイの立場からはルークとヴァンのどちらの事を考えれば迂闊に言えるはずがないと。









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