焔の存在を幻想にさせぬ為に

「・・・その世界以外を余裕を持って選べないのは分かった。そして協力をするのも俺はやぶさかではないが、その判断の為にも最後に聞かせろ」
「・・・何をでしょうか?」
「・・・俺とジェイドにこうして協力を願いに来たのには間違いはないのだろうが、他の面子には話をしに行ったのかもそうだが他の面子には協力は願わんのか?」
「・・・確かにそこは気になりますね。どうせ協力するなら私達だけにするのではなく、一緒に集めて話をすればいいはずですが・・・」
「・・・もう予感はされているのではありませんか?私が協力を求めるのは貴殿方二人だけです」
「・・・やはりそうか・・・」
それでアッシュは何故自分達にだけ話をしに来たのかと聞いてジェイドも同意を示すのだが、紫が返した答えに納得を浮かべた。二人以外に誘う気持ちがないと感じていたのは間違いではないと。
「その理由とは、私達がティア達と距離を取る理由と同じですか?」
「えぇ、それもありますわ。ですがそれ以上にルークを引き留められるような事をされては困りますもの」
「引き留められると困る・・・?」
「私にルークを助けて欲しいと願った子に対して、命は助かったけれど引き留められたからルークはオールドラントに残った・・・なんて説明したらチクチク嫌味を言われるだけならまだしも、会う度会う度あの子が本気で私を殺しに来かねないのでそれを避ける為です」
「は?・・・察するにその方とは仲が良いのではありませんか?何故殺しになどと・・・」
「それだけ今の彼女にとってはルークが大事だということですわ。今回の肉体を手に入れる為の平行世界行きも肉体だけ得てさっさと帰ってくればいいという彼女を何とかルークが説得してこうなったのに、そのルークがそういう理由で帰ってこないとなれば私にそのしわ寄せが来るのは容易に想像が出来ますもの」
「随分とその方に好かれているものですね。そしてそういった気持ちから殺しにかかられるのを避けたいと言うわけですか」
「えぇ、そうですわ。貴殿方の世界と違って幻想郷では挨拶代わりに殺しにかかる相手も珍しくはありませんが、彼女とそういった関係になるのは私も望んではいませんし・・・何より彼の事は幻想郷の住民として気に入っていますもの。ですから私としましても彼を引き止めに入るだろう事がないどころか、彼を送り出してくれるだろう貴殿方二人に協力をしたいと考えたのです」
「そういうことですか・・・」
ジェイドはその理由についてを問うと肯定はしつつも自身の考えを述べていく紫の答えに、何とも言いがたそうな表情を浮かべる。価値観の違いに立場の違いからの話を聞いて、紫の話が決して大袈裟な嘘ではないとジェイドは感じた為に。
「・・・お前の立場からルークを全てが終われば幻想郷という場所に戻したいというのは分かった。だがそういったそちらの考えを除いて答えてほしいが、もしティア達が共に俺達とルークの手助けをするために行動したとして無事に全てが終わった時・・・オールドラントに残ったとして、ルークは幸せになれると言えるか?」
「それは有り得ないでしょうね。むしろルークの枷にしかならないのは想像は容易につきます」
「・・・やはり、そう答えるか・・・」
また続けてアッシュがティア達と共に行動をした場合ルークはどうなるかを聞くのだが、迷う素振りなど一切見せずに答えを返す紫に表情を苦い物へと変えた。予想通りの答えが返ってきたことに。









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