道のりは険しく時間は限られている

(・・・そうしてアニスの事を助けることはしないってなった訳だけど、表向きはアニスは時折顔を見せる中では普通にはしてたらしいとは言ってはいたらしいんだ。ただやっぱりなんていうか事情を知っている二人からしたら無理をしてるだったり、本心を見せないようにしてるって風にしか見えなくなったらしい。それでも一応は元気にはしてたらしいんだけど、やっぱり二人が亡くなっていったってことが効いたらしくて・・・それ以降何回か会った時はもう空元気な姿しか見ることが出来なかったらしい・・・)
(『まぁなんつーか張り詰めた糸がプツリと切れちまったんだろうけど・・・結局借金ってどうなったんだ?こっちに来るまでに無くなったのか?』)
(その辺りは十五年前の額とアニスのもらってる給与の額から計算してこっちに来る三月前くらいには返し終わった計算になったってジェイドは言ったけど、だからってアニスの状態がいいものかどうかっていうのとはまた別物だって言ってた・・・今お前が言ったことの延長線のようなことを言うけど両親が亡くなった上で借金もようやく返せたっていうのは、張り詰めた糸の二つ目が切れたような物だってジェイドは推測したらしいんだ。それでそうして今までずっと借金を返してきてはいそれで自由ですなんて風になっても、今更アニスからしたらどうすればいいのか分からなくなるだろうって・・・)
(『あ・・・それって話に聞くような燃え尽き症候群みたいなやつってことか・・・?』)
(あぁ、ジェイドはそんな風に言ってた・・・)
そんなアニスについての話を更にしていく中でこういう状態になったと言うルークの声色はまた深く重い物になっていた。
(・・・経済状況から考え方に行動が借金返済の為に帰結する形でアニスは行動してきた。それは本人が望んだことじゃないにしても、それでも今までそれを放棄することも逃げ出そうとすることもなくアニスは生きてきた。青春どころか結婚だったり普通の幸せを送ることも出来ずに・・・)
(『待てよ・・・アニス、結婚出来なかったのか?』)
(アニス自身が出来ないし、しない方がいいって判断したんだろうってジェイドは言ってた・・・普通に見れば英雄扱いで相手を選び放題の選り取りみどりでも、アニスの立場から考えれば一般家庭でそう簡単に返しきれない借金持ちと結婚するなんて人はいないだろうし、何よりいい人であるなら巻き込むことに気が引けるだろう以上に悪人だった場合が目も当てられない事態になることを恐れてだろうって)
(『あ~、全く有り得ない話でもないから結婚は出来ないっていうよりしなかったってことか』)
(そういうことだけど・・・両親も亡くなって結婚もしないってなって、その上で今までの全てをかけてきた借金の返済が終わった・・・歳を言うのは失礼って話になるかもしれないけど、もうその時にはアニスは四十も過ぎてて何かをやるには遅すぎるとは言わないにしても、そこから何か新しい目標を見つけて生きるって考えるには酷すぎる・・・そうジェイド達が考えたってのもあるけど、何よりもう一度あの二人と時を共に過ごしてもらうのがアニスにとっていいことなのか・・・そう考えての事だったらしいんだよ。アニスの性格的に両親に手をかけるようなことはしないだろうけれど、かといってならそれで放っておいたらアニスが幸せになるかっていうことを考えるとってな)
(『そういうことだったのか・・・』)
そしてアニスのその後の環境や心境にまでも触れた上で共に戻ることがいいことかを判断したジェイド達が結果・・・それらを語り終えたルークに、『ルーク』は重く受け止める。いかな苦労に問題がアニスにもジェイド達にもあったのか、それらを強く感じ取った為に。









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