道のりは険しく時間は限られている

(最初アニスはその事に気付かなかったらしいんだよ・・・でもそうやって時々二人の元に帰っていくにつれて部屋の中が少しずつおかしいって思っていって、それで決定的だったのは二人からこれだけ借金したんだけれどもうこれ以上貸すことは出来ないって言われた事だったらしくて・・・金額にして言うとモースのいた時程じゃないにしても、その時のアニスと二人でも一朝一夕に返せないレベルの金額だったらしくて・・・)
(『・・・それで、どうなったんだ?』)
(勿論の事だけどアニスは二人に対して滅茶苦茶に怒ったらしいんだけど、そうして借金をしたのはモースの策とかじゃなくて二人の自由意思だから前と違ってダアトは手出し出来ないって断られたらしいんだ。ただそこでジェイド達はアニスも分かってただろうことを承知の上で何も言わなかったってことだけど、教団の本音はそこだけじゃなくてもう二人の借金癖が治ることを見越してないからそれで断ったんだろうって見てたらしいんだ)
(『今までの前歴からってのもあるんだろうな・・・特にイオンを間接的に殺す一因になったことに関して、それだけアニスを追い詰めるくらいに話を聞かなかったって事なんだろうし』)
そうしていかに手詰まりの状態になったかにダアトがどんな対応をしたのかを語るルークに、『ルーク』も苦く理解出来ると言わざるを得なかった。イオンの事があったのに今度は大丈夫だろうと安易にまた借金をしたばかりか、その金額が前の事を悔いているといったような額とはとても言えないとダアトが判断しただろうことを。
(あぁ・・・ただ流石に金貸しもこれが限度額だろうって額を見据えて金を貸したから一応アニスの言葉もあってそれ以上に借金が膨らんだなんてことはなかったけど、そうして借金の返済の為に働く中で歳的にもう働けなくなっていって、無理して働いたけどそれをこじらせて亡くなったらしいんだ・・・)
(『・・・それって、どう言っていいか分からなくなるな・・・アニスとしちゃ借金を返してほしかったって気持ちになるのと、そこまでして死ぬようなことにはなってほしくはなかっただろうし・・・』)
(まぁな・・・ただそういった生活をしてたアニスとは顔を合わせにくいってこともジェイド達はあったらしいんだけど、それだけじゃなくてアニス達に資金援助することをしないって決めたのもあって距離が出来たらしいんだ)
(『は?それってダアトがそうしたから自分達もそうしたってのか?』)
(怒りたくなるかもしれないけど、ジェイド達もそんなに頻繁にアニスと会うような立場じゃなかったんだよ。特にアッシュはキムラスカの王族として戻って暮らすことになってな。その上でアニスもそんな自分達の立場だったりについて助けを求めなくて、ジェイドが違和感に気付いたのがエルドラントでの戦いが終わってから十五年って所で時間が取れてゆっくり会いに行ったことからようやくだったらしいんだよ・・・)
(『マジか・・・』)
(ただでさえ忙しかったジェイドのことを批判するのは違うって言うのは分かっただろうけど、そこでならジェイドが借金返済を代替わりしますなんてことをするのは良くないって自身でも思った上でアッシュとも話をしてそうしないってなったらしいんだ。二人の立場が立場なだけに家に金はあっても自分の為に使える金はそんなになかった上に、額が額だったからそんな金なんて簡単に捻出出来るはずがないって・・・だから二人はアニスに助けを出すのは止めておこうってなったらしいんだ)
(『そういうことなのか・・・』)
そしてタトリン一家がどうなったのかもそうだがジェイド達がその事をどう捉えて判断を下したのかを聞いた分だけルークは話していき、『ルーク』は複雑な気持ちで聞き入れる以外になかった。双方に双方の立場があり、決して単純に考えて収まる話ではなかったのだと感じて。











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