道のりは険しく時間は限られている

「彼がどのように考えて今まで立場もあるのでしょうが、あまり接触をしてこなかった貴方に話をしてきたのかは私にはハッキリとした理由は分かりません。そして彼の性質を考えると、適切な距離を考えた言葉をかけなければ彼は貴方にどのような考えを抱くかも分からなくなります」
「・・・だから俺にちゃんと考えて行動に発言をしてほしいって事を言いたいのか」
「貴方は表向きな言葉遣いはともかくとしても、軽はずみな事を言うことはないとは見てはいます。ですのでその辺りを留意した上で行動するよう私はお勧めします」
「・・・まぁ言いたいことは分かるし、そうしようとは思う。ただ正直どこまでをどう判断してこれなら大丈夫かとか分かるかどうかは保証出来ねぇし、正解が分からねぇんだけど・・・」
「その辺りは私がフォロー出来る時はフォローしますので、貴方のさじ加減で大丈夫です。最悪の場合は貴方が戻った際に私やアッシュでどうにかしますので」
「っ、あぁ、分かった。一先ずはそうするよ」
そうして二人はガイについての話をしていくのだが、ジェイドがまとめるように口にしたどうにかとの言葉にルークは少し躊躇が生まれる形になりながらすぐに頷く・・・もしそれこそルークに依存かもしくは刃を向けるような事態になれば、排除にかかることをジェイドが考えていてそうするのが妥当だと自身で考えた為に。
「・・・つーかちょっと話題変えるけど、アニスはどうするんだ?イオンがあんな風に捕まえられて離れちまってるって事を考えると、タルタロスを追いかけるにしたって色々あるし俺らと一緒に行けばイオンの元に着くなんて保証もねーからどうするのかって話になるけどよ・・・」
「そうですね・・・ん?」
そんな空気から話題を変えようとルークが口にしたのはアニスが同行する理由がないことへの疑問で、ジェイドも少し考え込む中で二人の元にローレライ教団の法衣を着てフードを目深に被った人物が近付いてきたことにルーク共々気付く。
「・・・これを受け取れ」
「っ、貴方は・・・」
「じゃあな」
そして言葉少なくその人物が紙を手渡してきたことにジェイドはルークと共に目を見開くが、その人物はすぐに立ち去っていく。
「あれは・・・」
「少々待ってください・・・この紙には神託の盾の目的地はアクゼリュスであり、イオン様もそこに連れていかれる事になる・・・と書いてあります。どうやらあの方はわざわざ神託の盾の中から抜け出し、この情報を伝える為に我々の元に来たようですね。色々と彼なりに考えて」
「・・・誰かは知らねーけど、随分なことをしてくれるな(まぁアッシュなのは分かってるけどな)」
ルークはその後ろ姿に目を引かれるがジェイドが紙を見ながらその中身を読み上げた中身に、表面上は呆れたようになりながらも内心は回りくどいながらも精一杯の気遣いのあるアッシュの行動に少し嬉しさを感じる。アニスが離れるようなことをすることもなく、また内通者の存在を明らかにすることで後々に合流しやすくしてきた配慮のある行動に。
「んじゃ、早速他の奴らを集めるか?」
「そうしてもいいかと思いますが、集合時間までそんなにありませんからもう少し雑談がてらこのままここにいましょう。砂漠はまだ長いのですから、休養はしっかり取っておきたいですからね」
「そうするか」
それでルークが早速他の面々に伝えるかと聞くが、慌てる必要はないといった返しをするジェイドにすぐに納得した。さして急いで時間も違わないこともあるが、不用意に砂漠を急ぐのは危険である為に。









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