「ただどちらにせよ、いずれあの二人が衝突することは避けられないと思いますよ。言い方はなんですがあの二人の性格を考えれば、衝突をしないことの方がおかしいと思います。廃工場では私が止めましたが、あの時に言い争いになっていたら確実に面倒になっていましたよ・・・まぁ別の時であれば災い転じて福と成す、となったかもしれませんがね」
「まぁ今回はそうはならなかったけどな(ミュウが足元にいるからあんまり迂闊な話が出来ないんだよな・・・)」
その上でやたらともって回ったような言い回しをするジェイドの話に、ルークは内心で理解しつつ返す。ミュウに迂闊に話を聞かせないようにするための処置だと。
「ただそれを言うのであれば、貴方の方も廃工場でガイが話し掛けてきていましたが・・・どう感じたんですか、あの時は？」
「ん～、まぁ決して悪い感じはしなかったな。むしろあいつ自身もなんかこれまでと違って色々と考えてるっていうか、考えざるを得ないって感じになってるんだと思う・・・いいか悪いかはともかくとしてガイの中で何かの兆候にはなってるのかもな」
「兆候、ですか・・・」
それで次はジェイドからのガイに関する問い掛けが来たために何かの兆候ではとルークが返すと、微妙そうに眉を歪める。
「・・・何だ、何かあるのか？」
「・・・以前の私だったならハッキリしない事に関してを言葉にするのは避けて何でもないと言っていた所でしょうが、敢えて忠告の形を取らせていただきます。ガイがどのように変わるかはまだ分かりませんが、必要以上に彼に仲良くしすぎるのはやめておいた方がいいですよ」
「・・・なんでいきなりそんなことを？」
ルークはその反応は何があるのかと聞き、前置きをした上で神妙に忠告をしてきたジェイドに何故と眉を寄せる。
「・・・彼は人に見せる姿としてはしっかりと自制をしているように端からは見えるかしれませんが、その実として誰かに存在意義を求めているといった節があります。というよりは貴方にも前に話しましたよね？・・・遠いようで近いような、そうなるかもしれないしそうならないかもしれないかつての事について」
「・・・っ、あぁそういうことか・・・(こんな遠回しな言い方は、前の時のガイの事を言っているのか・・・)」
ジェイドはそこで意味深さに加えて更にもって回った言い回しをするのだが、ルークはそこで内外ともにハッとして気付く。自分達のいた方のガイのことを言っているのだと。






・・・紫と共にジェイド達と話をした時、ルークは当然ガイ達は何故一緒じゃないのかについての理由を聞いた。その時は正直な話として色々信じられないと思いはしたが、三十年の中でそれだけの時間を丸々とは言わずとも、それなりに長い間を共にしてきたジェイドの事実から来る言葉を否定することはルークには出来なかった。

何せ自分がもうどうやっても復活は出来ないと言われてからのガイがどうだったのかは、同じマルクト所属で近くにいたジェイドがよく知っているのだ。確かにルークとしては自分を忘れずに強く思っていてくれたこと自体はまだ受け入れられはする・・・しかし嫌なことに信じがたいことであっても、事実を事実として受け入れることがどれだけ大事かはアクゼリュスの時を始めとしていやが上にでも理解した。その為に本当にガイがジェイドの言うような状態だとルークも理解した上でここにいるのだ・・・ガイと共に行くのが望まれないことにあったと知って。









.