道のりは険しく時間は限られている

・・・そうしてガイとの会話を終えたルークは他の面々と共に先に進むのだが、廃工場の中身は昔に踏破していた為にそんなに苦労することなく先へ進んでいった。とは言え流石に三十年も前の事だったために全て道のりを覚えていた訳ではないが、そういった部分がサクサク進みすぎる事に歯止めをかけた為に中を知っていたのではないかといったような言葉をガイ達からかけられることはなかった。が・・・






(『ん~・・・ナタリアの感じ的にどうなんだ?前と違ってるんだろ?』)
(意気消沈な感じがまだ消えてないんだよな・・・前だったらここで意気揚々と先をズンズン歩いていってこっちに発破してきたんだけど・・・さっきの俺との会話で大分堪えてるのが見えるんだよな、明らかに・・・)
・・・そうして先を進む中で『ルーク』の疑問の声に、ルークはチラリと後ろのナタリアを見て何とも言いがたそうに返す。明らかに重い表情を浮かべ、足取りも決して軽やかとは言えない様子に。
(『どうする、なんかするか?』)
(なんかしたいって気持ちは確かにあるけれど・・・俺だけじゃなく、他の誰でもフォローするのって出来なさそうなんだよな・・・だって俺やジェイドはまだしも、他の三人は何も知らない上に元々から付いてきてなんて思ってないんだし)
(『あ~、まぁそうなるか・・・』)
(だから気の毒じゃあるけど、ナタリア自身に乗り越えてもらうしかないんだよな・・・この辺りは悪いとは思うけど・・・っ!)
‘ドォンッ!’
(来たか・・・!)
そんな風にナタリアに対して申し訳無い気持ちで会話をしていた二人だが、目の前に上から降ってきた大型の蜘蛛の魔物が轟音と共に現れた事にルークは瞬時に油断なく剣を抜く。
「なんだよ、こいつ!?」
「どうやらこの廃工場の主とも呼ぶべき魔物のようですね。おそらく我々を侵入者と見たか、手頃な餌と見たか・・・どちらにせよ戦わなければ先に進めないでしょうし、下手に逃げれば後ろから襲われて死ぬだけでしょうね」
「なら戦うしかねぇか・・・!」
ただそんな動作をしつつも表向きは何も知らないようにルークは驚いたように叫び、ジェイドも槍を出しながら戦うべきといったように言ったことに一同はルークの言葉で一斉に武器を構える。魔物を退治するべく。


















・・・そうして魔物との戦いになったのだが例えルークが手加減をしているとは言えジェイドは立場的にそんなことをしなくてもいいため、ジェイドの譜術をメインにして戦闘は滞りなく進んで魔物は程なくして倒れた。



「・・・は~、ビックリした・・・でももうこれでこいつは起きてこねぇよな?」
「えぇ、もう死んでいますからね。襲い掛かってくる心配はないでしょうが、皆さん怪我はないですか?」
「私は大丈夫ですが・・・その・・・」
「何ですか、ナタリア?」
そうして戦闘が終わって一息ついた所でジェイドが周りの面々に大丈夫かの確認を取る中、ナタリアがモジモジと辺りを見る様子にどうしたのかと声をかける。
「いえ・・・どうにも何か、戦っている最中の彼女の動きがあったのか気になってしまって・・・」
「っ・・・」
(あぁ・・・明らかにやる気って言うか、積極的に倒すみたいな気持ち感じられなかったもんなティア・・・)
そこでナタリアがティアに何とも言いがたそうな視線を向けると当人は不快そうに顔を歪めるが、ルークは確かにという気持ちを抱いていた。戦闘の際のティアの動きは少しはルークにも見えたが、自分の安全を主に優先しているように感じた為に。









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