道のりは険しく時間は限られている

「付いてきてーってんなら王女として付いてこないっていうのと同時に、自分は王女だみたいに名乗り上げるな。今の話を聞いたならわかんだろ・・・下手にお前がそうだって名乗り上げるのが求められないってのは」
「・・・はい、それは・・・」
「それでもうひとつついでに言うなら、誰かにお前がいる理由を聞かれたなら俺達が付いてきてくれなんて言ったなんて事はなく自分が無理矢理付いてきたって言え。お前から言わせりゃ不本意だとかそんな気持ちになるだろうけど、俺達がお前にそう望んだなんていったら面倒になんのは目に見えてるだろうしよ」
「そっ、それは・・・!」
「自分から俺達に何としても付いてきてーつってんのに、首を縦に振らせりゃ俺達がさも付いてきてくれっつったってのもおかしな話になるしジェイドの話は今も聞いたばっかだろ。だからもし何かあったら責任は自分で取れるようにそう言え。王女としての件も含めてそんなの飲めねーか、飲みたくないってんなら同行を許さねーぞ」
「っ!・・・わ、分かりましたわ!もしもの時はそう致します!」
「・・・ま、本当ならさっさと帰ってほしい所だけどこんなもんか」
・・・それでそこからの話の流れはルークが一方的に操る物となり、出された条件及びどうするかの選択肢にナタリアが不本意だといった空気を盛大に滲ませながら了承すると返したことに一先ずよしとしてジェイドへ視線を向ける。
「これでいいか?」
「えぇ、ありがとうございます。一先ずはこちらに責任が及ぶような事態にしていただかなくて」
「納得してくれるならそれでいいって言いてーけど、そっちの三人はここでごねられてこれ以上時間を取っても仕方ねぇって風に考えてくれ。あんまりいいことじゃねーってのは分かるだろうが、何かあったらナタリアが無理矢理付いてきたで済ませりゃいいと思ってるけど・・・なんかこう聞いても反対意見とかあるなら今の内に言っといて欲しいんだけど、なんかあるか?」
「「「・・・」」」
そうしてジェイドに確認を取った上で残り三人に今のでいいかといったように確認の言葉をルークが向けると、浮かべる表情は揃って眉間にシワを寄せるような物でありながらも反対の言葉は出てくることはない。おそらく付いてくること自体には反対はしたいが、その為にナタリアを納得させたり無理矢理にでも追い返す事を考えてのものだろう。
「・・・んじゃ決まりだな。ただ一つ追加で言うなら、王女として付いてくるんじゃねーんだから俺や他の奴に命令とかすんなよ。あくまで個人として来るんだし、それはそれでこれはこれみたいな考えをされてもこっちの気分が良くねぇからな」
「っ・・・はい、分かりましたわ・・・」
そんな何も言わない様子を見て最後に注意をした上で了承するなら連れていくと言うと、ナタリアは力なく頷くしかなかった。行きたいという気持ちを優先したいと思いつつも、そこまで言われなければならない上にそれを受け入れざるを得ない状況に・・・


















・・・それでナタリアの同行が決まった所で一同は先を進み出すのだが、やはりというか散々言われたことからナタリアの意気は上がることなく重い表情のままに一同の一番後ろを重い足取りで付いていくという状態になった。









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