「・・・どうしたんだ、いきなりこんなこと？」
「いえ、付いてくるなら王女と名乗らないし立場を利用しない・・・そして全て終わったなら自分が勝手に付いてきただけで、我々は付いてきてくれなどと言ってないと言ってくれるようにしてくれるならいいと、貴方から言ってくれませんか？」
「えっ？どうしてジェイドから言わないんだ？」
それで十分に距離が取れた所で用向きを素で問うルークに、ジェイドがこう言ってほしいと言った中身に何故自分で言わないのかと聞き返す。
「私が直接言えばナタリアはマルクトは本気でアクゼリュスを救うつもりがあるのかと怒りに震えながら言い出すのは目に見えていますし、私が付いてくるようならこの条件をと言うのは少し違うだろうという話になります。ですので私からマルクトとしては王女をキムラスカの了承なく連れていくことは流石に了承出来ることじゃないから是非止めるように言うか何かせめて対策を施してくれと言ったという体で、貴方が仕方無いからと考えた折衷案として今言ったような事を飲めというようにナタリアに言ってください。どうせナタリアは無理矢理にでも付いてくるでしょうから、これなら最低限のこちらの妥協点になりますし、向こうもそれなら分かったと言うでしょうからね」
「あ～、役割分担をすることで渋々こっちが了承したって空気を滲ませるってことか」
「えぇ。それに言質を取ればそういった事では律儀なナタリアは有事の際はともかく旅の間は注意すれば収まってくれるでしょうし、一応はティアとガイに対する予防線を張ることが出来ます。ですので今の流れでナタリアを歓迎はしないけれど、仕方無いから自己責任で来るなら勝手にしろ・・・と言ったように私と共に話をしてください」
「あぁ、分かった」
ジェイドがそういった理由についてをスラスラと語るとルークもそういうことかと納得し、簡潔に話の流れをどうするか決めて頷いた所で二人はナタリア達の方へと戻る。






「・・・一体何だったのですか？コソコソと二人だけで話をなどと・・・」
「あー、簡単に言えばお前が付いてくるのをさもマルクトが認めたみたいな感じになるのはちょっとまずいからどうにかしてくれって言われたんだよ。キムラスカ側から派遣されたのは俺にガイだけだってなってるのに、お前が勝手に付いてきてそれをジェイドっつーマルクトの代表がいいんじゃないかみたいに言ったってなったら、お前をそそのかしたのはマルクトだろみたいに言われるのを避けたいってな」
「なっ・・・！？」
それで他の面々の前に戻るとナタリアがジト目を向けながらどういう理由の行動だったのかと聞くが、ルークの口にした言葉にすぐさま絶句した。まさかそんな風に言われると思ってなかったというのが丸わかりな様子で。
「実際俺も言われて気付いた事だけどよ・・・それでもお前、俺達に付いていくってのか？ジェイドやマルクトに迷惑っつーか、うまくいきゃちゃんとした形で結ばれる和平にケチをつけるような事になるってのによ」
「っ・・・そ、そんなことになるかもしれないとは・・・」
「んでお前がこれで帰るんなら別にいいって言いてぇんだけど・・・今の話を聞いて帰ってくれるか？」
「そ、それは・・・ですがキムラスカとマルクトの間で和平が結ばれるのに、私が行かないなんて・・・」
「・・・だと言うと思ったよ。だから今から言うことに従うっつーんなら一緒に付いてくる事は仕方ねぇとはしといてやるよ」
「・・・え・・・？」
その上で話を進めて諦める気があるのかを聞くと勢いは無くなったが諦めきれないといった様子に、ルークが極めてめんどくさそうに条件をつけると言うとナタリアはたまらず不安げな表情を浮かべた。何を言われるのかと。









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