道のりは険しく時間は限られている

(さて、以前の通りならもう少ししたならナタリアが来るはずだけれど・・・)
(『と言うかそこまでして付いてくる事が大事っていうのはなんか違うと思うんだけどよ・・・お前の時はあのオッサンとキムラスカを出るみたいな話になったからそうしたらしいけど、今回それもなしで単に付いてくるってんならマジで単なるワガママだろ・・・』)
(あ~・・・それを言われると確かに一回は最低でもナタリアは止めないとならないってなるか・・・)
廃工場の入口に入り歩いていく中、ルークは内心でナタリアが来ることに関してを話し合うがワガママと『ルーク』が言ったことに複雑な気持ちを感じていた。言っていることは分かってしまった為に。
「・・・お待ちになって、皆さん!」
「っ・・・ナタリア、何でお前ここに・・・(あぁ、来ちゃったか・・・)!?」
そうしていた時にふと後ろからかかってきた声に何事かと振り返ると、案の定王女としてのドレスから動きやすい服装に着替えてきたナタリアが現れた。ルークはその姿に表向きは驚きつつも、内心は脱力感に満ちた気持ちでいっぱいであった。
「何でも何もありませんわ!私も貴殿方に付いていくためにこうしてここに来たのです!」
「いやいやいや・・・俺は断ったし、叔父上も行くなって言ってたろ。それとも叔父上がお前に付いていってもいいなんて許可を急に出したってのか?」
「許可を出してほしいとは何度もお父様には言いましたわ!けれど何度言っても聞き入れてはくれませんでした・・・ですのでこうして城を抜け出してきたのです!」
「んな堂々と抜け出てきたとか言うなよ・・・さっさと帰れ。今なら抜け出てきたってのも言わないでおいて済ませといてやる」
「なっ・・・!?」
「言ったろ。叔父上が許可を出してねーってのに俺がお前を連れていくつもりなんてねーんだよ。だからさっさと城に戻れ」
「戻りませんわ!お父様に反対はされましたが、私が付いていけば間違いではなかったとお父様も分かっていただけるはずです!」
「・・・マジで話を聞いちゃくれねぇ・・・(付いてくるのは仕方無いって言えないけど、諦めさせるにしても付いてくるのはいいって言うにしてもどうすりゃいいんだマジでこれ・・・)」
ナタリアはそんな内心に気付くことなく話をしてくるのだが、勢いと意志の強さが見える答えにたまらずルークは頭に手を当てる。内心では連れていくには自分の立場では色々と難しいということに。
「・・・本当に付いてくるというのですか?陛下が止められたというのに」
「ですから私が行けばお父様もそれで良かったと言ってくれると申し上げたではありませんか!」
「ではこちらがどう言おうと我々に付いてくるという意志に変わりはない・・・そう見てよろしいのですか?」
「そうですわ!」
「・・・ふぅ。ルーク殿、少しよろしいですか?」
「ん?・・・何か知らねぇけど、ちょっと待ってろお前ら・・・何か俺にだけ話があるっぽいからな・・・」
そうしているとジェイドが確認の為にナタリアに声をかけ、威勢のいい答えが返ってきたことにタメ息を吐きながらルークに話し掛け視線を誰もいない空き地の方に向けると、めんどくさそうにしながらも二人で話に行くとルークは少し離れた場へと先に向かう。ジェイドがミュウに少し待つように言ったのを背中で感じつつ。









.
3/17ページ
スキ