道のりは険しく時間は限られている

・・・ティアとガイについて前進と呼べるのかそうでないのか分からないやり取りを経た後、下の階層に降り立って歩いたルーク達はそこで以前のようにイオンが拐われた事にシンクが街の入口で見張りをしているという話を持ってきたアニスと対峙した。

そこでは細部は色々と違うものの大まかに話が進んだ後、「・・・お待ちください。私の心当たりが正しければバチカルを秘密に抜けられるかもしれません。信じていただけるなら私に付いてきてください」とガイが言い出した事でその言葉にルーク達は他に方法がないならとそうすることを選んだ。






(『・・・ガイが廃工場の事を言い出して一安心って言いてぇ所かもしんねぇけど、廃工場が使われなくなったのってバチカル内でも結構昔の事のはずだろ?十年や二十年程度前とかじゃなくてよ』)
(まぁ確かそうだったけど・・・)
(『それを知ってたってことはよ・・・お前の方もこっちの方でもガイは廃工場を使うつもりでいたんじゃねーのか?もしもの時っつーか、その・・・ファブレを滅ぼした時の逃げ道に使おうって形でよ・・・』)
(っ!・・・それは・・・否定、出来ない・・・)
そうして更に下の階層に向かう途中に『ルーク』がふと複雑そうに口にした廃工場とガイを繋ぐ物についての推測に、ルークは苦い思いをしながらも否定を返せなかった。今となって考えれば確かに廃工場の事を知っているのは年齢的に二十代前半、それも小さい頃マルクトから来たガイが知るには不自然な物だと感じた為に。
(『それについちゃ今更言うなって感じになるは思う・・・けどそこまでして本気でガイが動いてたって考えると、ちょっと怖くなったんだよ・・・あいつがその気になってたら、俺も父上達も皆死んでたんじゃないかって思うとな・・・』)
(・・・それこそ今更だよ。多分紫はそういった世界線の俺達についても見てきた可能性はあるとは思う・・・けど今の俺やお前にガイ達はここに生きていて、どうにかしないといけないって考えて動いてる・・・確かに危険だとは認識はしてるけど、それでも俺達はやらなきゃならないんだ・・・皆や俺達が生きていくためにも・・・!)
(『っ!・・・そうだな、悪かった・・・変なことを言って・・・』)
そうして『ルーク』が自分の時の事を思い出すようにガイに恐怖を滲ませるのだが、ルークがそれすらも受け入れ動くとの返しをしたことに謝罪をする。自分だけ弱腰になったこと及び、妙なことをルークに聞かせたことに。
(気にしてないさ・・・むしろ気を付けろっていう風に捉えるさ。ガイの本気さは今の話で伝わったからさ)
(『わりぃな、ほんと・・・』)
そんな答えに気楽さを滲ませるように返すルークに、『ルーク』も心から安心したように返す。人生経験の違いを感じて安堵するように。


















・・・そんな風に内心でルークが話をする中、下の階層に着いた一行は口調こそ違えど以前のようにミヤギ道場にガイに案内されたルーク達。そこで以前のように教えをもらい、ルーク達は道場を後にして廃工場に向かう天空客車に乗った。









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