「ガイ、落ち着け・・・」
「落ち着け？落ち着いていられる訳がないだろう・・・場合によっては殺されてしまうような可能性のある場所に我が身に兄の身大切さで、人をあっさりと売ろうと言ったんだ・・・これでそう言うなら場合によっては喜んでお前達の為に死んでやるみたいに俺達が言うとでも思ったのか？・・・なぁ・・・！」
「ひっ・・・！」
ヴァンはすぐさまに仲裁をしようと間に入ろうとするが、ガイは知ったことかとばかりに静かな怒りに満ちた視線と言葉を向け続けてティアを萎縮させる・・・嘘偽りだったり演技をしているとは到底思えない怒りを現れ形で。
「・・・気持ちは分かりますが、それこそ兄と自分だけが助かればいいと口からパッと出てきただけの考えなしの言葉なのは今までからよく分かってます。そんなものに対して詳しい理由付けを求めるなど無駄ですから、気を取り直して話を戻しましょう。追求してもそれこそ時間が無駄になるだけです」
「っ・・・そう、ですね・・・ではそうしましょう・・・」
「っ・・・」
そこにジェイドが間に入ってなだめるというより自身の怒りも含め冷たくこれ以上は無駄と言い切ると、ガイもハッとした後に落ち着きを取り戻しティアもホッとしたようになる。普段のティアなら気になる部分はあるだろうが、今はそこに目を向ける余裕などないままに。
「・・・んで、囮って言ってたけど一人でいいんだな？何人かでグループに分かれるんじゃなくてよ」
「まぁ謡将だけで問題はないでしょう。行きたいというならティアに付いていってもらうことも出来るでしょうが・・・」
「そいつは無しにするぞ。この女は俺達が連れていく」
「「「「・・・え？」」」」
そこにルークが話を戻してどうするかと聞いてジェイドがティアについての話をする中、自分達が連れてと言うと他の面々から呆けたような声が揃って漏れていた。



「(まぁそりゃそうなるのは分かるけど・・・)揃った反応の理由は分かるし、実際俺もそいつの発言に気持ちよくねぇ思いをしたのは確かだ。けどそれを踏まえた上でこいつが兄と一緒にいたいってんならそうすりゃいいって考えになんのは、逆にこいつからすりゃ本望だろ。だから俺もこいつと行くのはあまり気分が良くねぇってのを踏まえた上で、兄と一緒に行かせるのは止めて敢えて俺達と来てもらった方が今の発言の罰にもなるって思ったからこう言ったんだよ」
「なっ・・・！？」
(・・・ここでティアに離れられると、マジで後でどうなるか分からないから離す訳にはいかないんだよな・・・)
ルークはそんな反応に構わずそう言った理由についてを説明していくと、ティアは絶句と言った様子になる。ヴァンと一緒にいられなくなるばかりか、端から聞けば意地が悪い発案をしていると言ったようにルークがしていると感じただろう様子で・・・ただルークからすれば意地悪でもなんでもなく、ただティアを完全にヴァン側にやりたくないからこう言っているだけだ。
「・・・そう聞けば確かに謡将と行ってくださいなんて事にすれば、ティアが喜ぶだけですね。となれば罰と言ったよう、彼女には我々の側に来てもらいましょうか」
「ちょ、ちょっと・・・それは・・・！」
「では先程の言葉について謁見の間にまだいるだろうインゴベルト陛下や大詠師に先程こう言われたと説明しに行きましょうか？・・・貴女方がどのように言われて我々と共にこちらに付いてくるようになったのかは聞いてはいますが、流石に私はともかくとしてもキムラスカの王族であるルーク殿に囮になって死んでもらっても構わない・・・なんて言われたと報告したなら、いくら何でも今度はおとがめなしとはいかないでしょうね」
「・・・っ！」
(あ・・・こっちに視線を向けたってことは、ジェイドも俺の考えに気付いたか同意したってことか・・・)
更にジェイドまでもが同意した上で反対した時に取る行動を口にするとティアも流石に顔を青くするが、一瞬だけ目線を向けてきたことにルークは察する。ここでティアを離さないと決めた自身の考えを察してジェイドも行動したのだと。









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