移ろう気持ちに関係

そうして二人が現れジェイドが伝令により伝えられた話をすると、二人は揃って厄介そうだといった表情を浮かべていった。






「・・・面倒ね、そんな形で神託の盾がいるなんて・・・兄さんならどうにか出来ないの?」
「難しいな・・・あれは私の配下の兵ではないからな。言葉では聞かぬだろうし、下手に何もせずに船で出港すれば一気に彼らは我々を襲いにかかるだろうな」
「そうなったら・・・」
「負けるつもりはなくとも、多大な被害が出る上でアクゼリュスに着くまでの時間に遅れが出ることは避けられんだろうな」
「・・・はぁ・・・」
そうして話を聞き終わり二人だけで会話をするティアとヴァンだが、ヴァンはまだしもティアはあからさまにやる気がないと言わんばかりに表情を歪めてタメ息を吐く。
「・・・で、どうしますか?確かに貴方の言う通りに船で出るなら襲い掛かられる可能性はありますが、かといってキムラスカに応援を要請して彼らを討伐しようとしても向こうの目的が我々を倒すことか足止めなのかというのがハッキリと分かりません。もし足止めが目的ならキムラスカの海軍が動いていると知った瞬間に散り散りに撤退する可能性も有り得ますからね」
「・・・その方が安全なんじゃないんですか?」
「話を聞いていなかったのですか?この和平に関してはまだアクゼリュスの救援がなされるまではあまり公にするような物ではないこともありますが、海上に陣取る神託の盾がどこの所属かは置いておいてローレライ教団の兵である神託の盾と敵対する構図を人々に見せてしまえば動揺を与えかねませんからね。キムラスカ側としても向こうがキムラスカへの宣戦布告であったり攻撃を仕掛けてくるなら話は別でしょうが、まず軍を動かすことなどしないでしょうね」
「っ・・・こっちが危ないというのに・・・!」
ジェイドはそんな二人の会話に入りヴァンにどうかと話し掛けるが、ティアが眉間にシワを寄せながらそうすればいいだろうと聞いてきた為にそれがまず出来ないだろう理由を返すと、キムラスカは役に立たないと言わんばかりに苛立ちを浮かべる。
「・・・やむを得ん、私が船に乗って囮になろう」
「兄さん!?囮ってどういうこと!?」
だがヴァンが決意を滲ませて前のように囮になることを切り出すと、兄を心配する顔に瞬時に変わったティアが何故と詰め寄る。
「今の話の流れから船で何事もなくケセドニアにまで向かうのは難しいとは分かったはずだ。だがそれなら船を使わずに陸路でというのもまた、海上に陣取る神託の盾がこちらの動きを見抜いて団体で囲んでくるような事になればあまり良くない状況になる・・・なら私が囮になって神託の盾の目を引き、皆には陸路で行ってもらった方がいいと判断したのだ」
「兄さんがそんなことをする必要はないわ!囮なら兄さんと私以外がやればいいじゃない!」
「「「っ・・・!」」」
・・・ティアの言葉に、ルークとジェイドだけでなくガイまでもが揃って一気に空気をピリつかせた物へと変えた。自分とヴァン以外を見捨ててしまえばいいと、躊躇いなくあっさり言いきった事に。






(『・・・流石に今のは聞き流せねぇぞ・・・オッサン以外に関心を持たないから仕方無いとか、そんな言い訳で我慢出来る訳がねぇ・・・!』)
(あぁ・・・これはちょっと言わないと駄目だな・・・!)
「・・・それは本気で言っているのか?」
「っ・・・!?」
(ガイ・・・?)
その中で流石にルークも今の発言に行動を起こそうとするが、その前にガイが今までにない様子で威圧的に口調を改めて冷たい目を向けてティアに話し掛けるとたまらずティアは身を引いてしまう。その光景にルークは戸惑いを浮かべつつ、静止して伺うような視線だけを向けた。









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