移ろう気持ちに関係

「さて・・・んじゃ俺は屋敷に戻るわ。後は和平が成功することくらいは祈っておいてやるよ」
「えぇ、ありがとうございます。では私達はこれで」
それでルークが別れの言葉を向けてきたことにジェイドも答え、ルークは屋敷の中に入っていく。






「・・・帰ってきたか、ルークよ」
「父上・・・」
そして屋敷に入ると入口前に立っていた公爵の出迎えに、ルークは軽い驚きを浮かべる。
「話はガイから聞いている・・・よく無事に帰ってきてくれたと言いたいが、雰囲気が変わったか?ガイの話からどこか屋敷から飛ばされる前と変わったというように思えたとの事だが・・・」
「・・・色々とこの旅で感じることが多かったので、そこからではないかと思います・・・自覚はないですけれど・・・」
「・・・うむ、そういうこともあるだろう」
そんな公爵はルークが変わったという話題を切り出し、自覚はないと返すと納得したように一つ頷く。
「・・・と言うより、ガイはそんな風に俺を見ていたんですか?本人がいない状況で言うのもあまり良くないとは思いますが、ガイがそんな風に俺の事を観察していたなんて正直意外と言うか・・・」
「・・・ガイもファブレに仕える使用人だ。人知れずルークに視線を向けるくらいには器用さはあるだろうが・・・話を聞く限りではあの女とのやり取りに盾になることも仲介に入ることも無かったと言ったように思えたが、それは間違いはないか?」
「・・・誤魔化さずに言うなら、それは確かです」
「やはりそうだったか・・・分を弁えていると言ったように身を引いているいつもの態度が仇となったか、はたまた素か・・・」
「・・・父上?」
「・・・あぁ、すまぬな」
ルークはそんなガイの視線と報告に意外と漏らして話をするが、公爵は何か考え込むような様子からルークの疑問の声と目にそっと頭を振る。
「取り敢えずルークよ、シュザンヌに無事に帰ったと顔を見せに行ってこい。先にシュザンヌに報告はしたが、直接顔を見せて安心をさせてやれ。そこからゆっくりと休むがいい」
「はい、父上・・・では失礼します」
公爵は気を取り直しルークにシュザンヌに会うように言い、ルークもまたすぐに頷き頭を下げてから場を後にしていく。


















・・・それでルークはシュザンヌと会い、対面を果たして彼女を安心させた。ただその時にはティアがいなかった為、多少会話が短くなる形でルークは夫妻の部屋を出て自身の私室に戻った。



(『・・・なぁ、さっきの父上のガイに関しての反応ってどうなんだ?』)
(多分って言うか、まず間違いなくガイに関してあまり良くない考えは浮かんでたとは思う・・・態度的に距離を測ってたみたいに言い訳をするにしても、ちょっと距離を取りすぎてたって父上は話から感じてただろうって思うから・・・だから流れ的にガイもアクゼリュスに送ろうって考えてたんだと思う。父上も前からガイのあの何歩も引いた姿を問題視してて、今回の話の様子からそうしようって決めたっぽいんだよな・・・)
(『あ~っ、ぽいな~・・・』)
それで部屋のベッドに腰掛けたルークは『ルーク』の疑問の声にこうだろうと答えると、確かにと納得する。ガイの事を穏便にと言うか問題視されないよう片付けるには、アクゼリュスに送った方が早いだろうと。









.
12/20ページ
スキ