移ろう気持ちに関係

「ルーク様、お待ちしておりました!私はゴールドバーグと申します!」
「あぁ、出迎えご苦労」
船から港に降り立ち大勢のキムラスカ兵とセシル少将を後ろにつけたゴールドバーグの出迎えに、ルークは簡素に答える。
「そしてそちらが・・・」
「初めましてゴールドバーグ将軍、マルクト軍第三師団師団長のジェイド=カーティスと申します。此度はピオニー陛下よりの命で和平の使者として参りました」
「同じく導師としてこの和平の仲介を頼まれたイオンです」
「えぇ、そちらのお二方に関しましてはお話は聞いております。この後にインゴベルト陛下への謁見をしていただくようにしておりますので、城にまで参られてください」
「ありがとうございます」
そして次にゴールドバーグはジェイドとイオンの方に視線を向け好意的に話を進めるが、ヴァン達に視線を向けると表情を厳めしい物へと変える。
「さて・・・謡将にファブレの屋敷に押し入ったその妹は我々と来ていただこう」
「なっ・・・!」
「・・・成程、ファブレの件で我々を疑っての事ですか」
「っ、兄さん・・・!」
ゴールドバーグの拒否を許さないとの声にティアは何故という空気を出していたが、ヴァンが理解をしたといった様子を見せた為にたまらずすがるように視線を向ける。
「案ずるな、ティアよ。潔白を証明したいならここは大人しく従うべきだ。下手に異論を言って場を逃れようとしたら更に疑いをかけられることになるぞ」
「兄さん・・・分かったわ」
(『おーおー、物わかりのいいことで・・・俺らが同じような事を言ったって反発ばっかするだろうによ』)
(だろうなとは思うよ、本当・・・でもここで必要以上にごねられても面倒だからここまでにしとこう)
(『だな・・・もう家も城も目の前だしな』)
だが笑顔を浮かべ大丈夫だと言うヴァンにティアもすんなり不安が抜けたように頷くが、内心で『ルーク』は美しい兄妹愛には思えないとヤジりルークも必要以上に言わないようにと否定はせずに会話を終わらせる。
「では二人は連れて参りますので、皆様はセシル少将の案内の元で上に行かれてください」
「あぁ、分かった」
そんな中でゴールドバーグが話をまとめるように二人を残して上に行くように勧めてきた為、ルークはすんなりと頷く。






・・・それでティアとヴァンの二人と分かれた上でルーク達は上の階層へと行き、ファブレの屋敷の前に来ると先頭を歩いていたセシル少将が立ち止まる。
「それではルーク様、屋敷にお戻りください。カーティス大佐達は私がご案内致します」
「待った。和平の口添えを願われたってのもあるが、大佐には色々と世話になったからな。だから少将には悪いが、俺が叔父上の所に向かわせてもらう。言いたいことはあるだろうが、これくらいは大目に見てくれ」
「・・・分かりました。では私はそのように報告させていただきます」
「・・・私もここで失礼します。公爵様に戻ってきた事を報告しなければならないこともありますが、一介の使用人が城の中に入ることはおろか陛下にお目通りなど恐れ多い事ですので」
「・・・あぁ、分かった。んじゃ行くぞ」
セシル少将はそこで振り返りルークに戻るように言うがすぐに自分の意見を返し、セシル少将が分かったと続いた後にガイも自分も離れると切り出したことに少しの間を空けそれでいいとルークは一同を先導するよう先へ歩き出す。









.
10/20ページ
スキ