「・・・ティアの事に関してはこのくらいにしておきましょう。それより目下問題となるのは、謡将がこの船に乗っている間に貴方に接触してくるかですが・・・」
「多分それはないだろうし、あってもキムラスカを信じずに自分を信じろとかそんなことを言わないと思うよ・・・こっちの師匠は俺って言うか『レプリカルーク』の事をほぼ隠さず嫌うって言うか、関わりたくすらないって思ってるのが分かるから」
「・・・ではアクゼリュスは貴方に有無を言わさず暗示を発動させてくると見ているのですか？」
「まぁな・・・と言うかそれ以外無いだろうと思うよ」
そんなティアの話題からヴァンについての行動についてを話題を移すジェイドだが、ルークはもう分かっていると表情と発言が落ち着いた物に変わったことに眉を寄せる。
「・・・ティアと態度が違わないかって言いたいんだろうけど、師匠の場合はもう最初から戦わないといけないって分かってた上でこっちの俺から色々聞いてたからだよ。そうじゃなかったらティア程じゃなくてもショックは感じてたろうしさ」
「あぁ、成程」
ルークもその視線に言いたいことを察してこういう訳だと返すと、ジェイドは納得する。確かにそれならヴァンの方は割り切りやすいと。
「と言うかこれからの事として問題になるのは、アクゼリュスで師匠を倒すかどうかだと思うんだけど・・・その辺りどうするべきだと思う、ジェイド？」
「・・・正直な所あまり手早く謡将に退場されても面倒ですが、だからと言ってこちらの謡将の性格を考えると貴方に反旗を翻されるよりもアッシュに取り付くシマもない状態で反旗を翻されたという事実があることの方が面倒な気がしますね。一応元々のこちらのアッシュは揺れて戻るか戻らないかの間でいたから謡将も然程心配はしていなかったでしょうが、いきなりそうでなくなる姿を見てしまったならあの姿がどうなるかが些か不安ではあります。それに残ったリグレット達を始めとする神託の盾もそうですが、ティアの事も考えるとどちらにするか微妙なところではありますね」
「あぁ、やっぱりそうなるか・・・」
そんなルークはむしろアクゼリュスでのヴァンについてが問題ではと聞くと、ジェイドから返ってきた答えに何とも言いがたそうに表情を歪ませる。自分も同じような事を感じていたというよう。
「ただ私個人として申し上げるなら、アクゼリュスでやれることはやってしまいたいとは考えてはいます。理由は例え外殻大地が降りて中断することになるとは言え、パダン平原での衝突に戦争を避ける為です」
「あっ・・・それは確かに避けたいな・・・」
しかしジェイドが更に続けたパダン平原の単語にルークも前を思い出し、辛そうに顔を歪める・・・当時アルビオールを手に入れて空に飛んだばかりの頃で、たまたま見た光景がキムラスカとマルクトの両軍がちょうどぶつかり合っている光景だった為に。
「あそこまで行く状態を避けるにはアクゼリュスを切り離すことはまだ後にするにしろ、その時にパッセージリングを壊されるような事態になるのは決して避けなければなりません。しかし謡将は前のように貴方にかけた暗示を用いるか、或いは貴方の事が不発に陥っても何らかの予防策を持っているかもしれません。そう考えればそこで謡将を地核に落とすことも小細工をさせることなく倒すことが大事になるでしょう・・・ただそうした場合、後のリグレット達の対応に向こうがどのような行動を取るのかの予想が前と違ってつけにくいのが難点になりますけれどね」
「・・・まぁそれは確かにな・・・」
そんな事にさせないようにヴァンを倒してしまう事を口にするジェイドだが、反面のデメリットについても口にされたことにルークは難しいと表情を歪ませてしまう。事はヴァンだけを倒せば終わりという物ではない為に。









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