移ろう気持ちに関係

「ふぅ・・・」
「お疲れ様です」
「・・・見てたのか?」
「えぇ。ですが私が会話に加わっても妙な形でこんがらがりそうだと思ったから敢えて何も言わずに済ませることにしました。少々申し訳ないとは思いましたが・・・」
「いや、気にすんな。お前が話に加わってもイオン達のリアクションはあんま変わってなかっただろうしよ」
「そう言っていただけるとありがたいです」
ルークも少し疲れたようにタメ息を吐き、そこに近付いてきたジェイドと軽く会話を交わす。
「・・・今の話を聞いてたなら何となく感じてるかもしれないけど、実際ティアってバチカルに着いたらどうなると思う?」
「普通なら先程貴方自身が言われたことに感じている事の延長線上のようになるでしょう・・・普通なら、ね」
「普通なら、か・・・(ミュウに配慮してハッキリ答えを言わないようにしてるのか・・・)」
それでルークは先程の事についてをジェイドに聞いてみると、さりげに二度も口にして強調するような声色で普通ならと返ってきたことに今ジェイドの足元にいるミュウに妙な事を聞かせないためだと察する。
「・・・なぁ、ちょっと立ち入った話をしていいか?」
「そうですね・・・ミュウ、少しイオン様の元に行っていただけますか?あまり彼からして聞かれたくない話のようですからね」
「分かりましたですの!」
「・・・さぁ、これで聞きたいことを聞かれても構いませんよ」
「悪いな、ジェイド・・・」
それでルークは真剣な空気を滲ませて話をしたいと切り出すと、ジェイドがミュウにイオンの元に行くよう頼んで元気よく場を後にしていく姿を見て大丈夫だと返す様子に礼を言う。邪魔者扱いしたくはないが、ミュウにいられると自由に話がしにくいために。
「・・・実際聞きたいんだけど、もし全てがうまく進んでイオンも含めてこっち側の人員が誰も死ななかったらって仮定したとしたとしても、ティアって神託の盾にいられるわけないよな?」
「まず有り得ないでしょうね。現在の時点でモースの覚えも悪く、謡将預かりになって時間を置いても人の噂は七十五日などと言いますが、悪評はそんな易々と人の心の中から消えることはありません。それに更に言うならイオン様でもティアの擁護には二の足を踏むくらいには印象が良くはありません。これから彼女が変わる可能性は無いとは言いませんが、今のままでは最低でもいずれの神託の盾からの除籍は避けられなくなっていくでしょうね」
「やっぱそうか・・・」
そのままルークはティアについて神託の盾にいられる可能性についてを聞くが、キッパリとジェイドはまずないと言い切った為に薄々予想していた通りと肩を落とす。
「貴方の気持ちは分かりますが、そもそも我々のいた方でもモースがティアをアクゼリュスに我々と同行する形で送り出したのはファブレに侵入した件を許してなかったからですよ。そうでなければ謡将がいたとは言え、ユリアの血族であるティアをそこまで軽々と手放すとは思いませんからね・・・ただその問題も以降の流れに加え、ティアがファブレに謝りに行ったことでそれで終わってしまったと言ったようになりましたが・・・実際はモースの中で面倒な事態にしてくれたとティアに対しての怒りからの私情も加味したとしても、インゴベルト陛下にファブレ公爵がそれでいいと手打ちにした以上は非公式とは言えキムラスカとダアトに死を望まれたというのと同義なのですよ」
「あっ・・・そ、そう言えば・・・!」
だがジェイドから改めて元の方でもティアの行動については問題視されていたのだとアクゼリュス行きの事を持ち出されると、ルークもその中身にハッとする形でそうだということに気付いた・・・アクゼリュス崩落の後は怒濤の展開が続いた上でルークにとってあまりにも辛い事が起きっぱなしだったが、ジェイドの言ったようなティアの問題について自分達は触れてはこなかったと。









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