女忍、舵取りに苦労する

「ま、ナタリアの事についちゃ助かったから別にいいんだけどお前らの方はどうだったんだ?随分話し込んでたからすっかり忘れそうになってたけどよ」
「そういえばそうだったな・・・それでどういう結果になったんだい?」
「まぁ一応行き先は分かったっす。ここに買い出しに来た神託の盾がいてそこを口走ったようで・・・でもその行き先って、アクゼリュスなんでさぁ」
「アクゼリュスだぁ?」
ルークはそのナタリアの一連の流れは終わったとばかりにくのいちに神託の盾の事について切り出し、ガイも先を促してきた事にあらかじめ用意していた嘘をそれらしく発表して一同を怪訝な表情にさせる。
「何が目的かなんてのは分からないんすけど、確かにそう言ってたようで・・・だからって訳じゃないんすけど、あっしらもこのままルーク様達と一緒に行っていいっすか?勿論皆さんの邪魔はしやせんし、目的を達成したら速やかに離れますんで・・・」
「・・・まぁそういうことなら別に反対する気はねぇよ。お前らの目的がたまたま同じ場所になったってだけだしよ」
「そうですね、私もそれで構いません。少なくともナタリア様が付いてくるよりは問題はないでしょうからね」
「俺も賛成だ。女性二人を見捨ててこのままというのも気持ち良くないしな」
「私も賛成です。一緒に行くというなら私達がイオン様をどうにか神託の盾からお助けすることも出来るはずですから」
その空気のまま同行を願うくのいちにルークを始めとして、全員が全員賛成といった声を上げていくがティアの所でピクリと眉が上がる。
「そういう風に言ってくれる事自体は別にいいけど、今のティアがやるべきことはアクゼリュス救助で私達はそことは関係無い別件の事・・・気持ちだけいただいておくね~」
「で、ですがイオン様をお助け出来るかもしれない時をむざむざ見逃すなんて・・・」
「優先順位を見誤っちゃ駄目だよ・・・ねぇ、ティア?」
「っ、は、はい・・・分かりました・・・」
そのままくのいちは断りを入れるが尚も諦めきれずいる様子に、ニッコリと・・・だが確かな圧力を感じさせる満面の笑みを向け、ティアを黙らせた。
「・・・さて、じゃあ行きましょう♪色々時間を使いましたし、船も一日に何隻も出港する訳じゃないから早目に乗っておかないと明日になんて展開も有り得ますしね♪」
「あ、あぁ・・・んじゃさっさと行こうぜ」
くのいちはそんな圧力を感じさせないようにルーク達に出発を促すが、ルークも圧力があったくらいは気付いたからか微妙そうではあったが反対はせずに頷いた。












・・・そしてケセドニアからカイツールの港に向かう船へとくのいち達は乗り込み、船は出港した。



「・・・ガイが、ですか?」
「うん、これからの危険度で言うとティアや謡将よりガイの方がやらかしそうなんだよね~。主にファブレもしくはルークに対してって所でね」
「・・・確かに話を聞くと、ファブレに何か起こすのって謡将と関係無いですもんね。もしそれでガイが何か全て終わった後、ファブレを滅ぼすとかしたら・・・」
「間違いなく旦那様の意志は関係無く、世界が混乱に陥るね・・・私としても歓迎出来ないしどうにかしたいんだけど、今の状況じゃガイを下手に殺そうとしたらルークの事を考えるとあまりいい予感がしないんだよね・・・」
それで船の中の一室にて二人はガイの事について話をするが、くのいちは難しいと表情を歪める。安全を優先して殺すことは安易に選べないと。










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