「ですがよろしかったのですか？こちらの立場もあるとは言え、あぁも一方的にナタリア様を追い返してしまって」
「そこについては問題ないない。ナタリア様の性格から見てこういう可能性があったんだって噛み締めてる所だろうから、こっちが何故追い返したなんて言われることはないだろうし」
「いえ、その事ではなくナタリア様がバチカルに戻ったならナタリア様自身が罰されるだろうことに関してですよ。少なくとも二度インゴベルト陛下の命に背いて城から脱け出した身のナタリア様を陛下がすんなりと許すとは思えませんからね」
「「！？」」
そこにジェイドがいいのかとくのいちに問うが、その質問の真意にルークとガイの顔が驚愕に染まる。ナタリアが罰を受けるとは考えてなかったといった様子で。
「その事を言ったらむしろあっしらに付いていくって決断をしかねないんで、あえて言わなかったんす。もしアクゼリュス救助が成功したってナタリア様がバチカルを脱け出した事には変わりないから罰せられる・・・そういった可能性が高いって言ったら『後の責任は私が取りますわ！だから私を連れていきなさいルーク！』って半ばヤケになって付いていくまで引きそうにないと思ったんで」
「あぁ・・・どうせ罰を受けるならと開き直る事を懸念して、ナタリア様の罰については何も言わなかったのですね」
「そうそう。それにそういう風に言ったってルーク様達に絶対に責任が来ない保証なんてどこにもないし、それこそマルクトやダアトに私の責任ですからこちらの方々には罰を与えないでください・・・なんて言われる方が迷惑と言うか、どうしていいか困惑するだろうしね～。だからあえてナタリア様には何も言わずって訳」
「ふむ・・・まぁ確かにナタリア様からそんな嘆願があってもこちらも困るだけでしょうね。下手をすればそれこそ私達が罰を受けてないか、それが分かるまでずっとこだわって動いてきそうですし」
「・・・なんかそう聞くと、なんでそう言わなかったのかって言う気が無くなったよな。ガイ・・・」
「あぁ・・・確かにナタリア様にとっては気の毒な結果になるかもしれないが、そんな二次災害も有り得たかと思うと流石にな・・・」
しかしくのいちとジェイドが話す本人そのものと思えるほどの物真似付きの会話の中身を受けて、二人はすぐさま表情と意見を翻す。事実を言う方が残酷というか、より面倒になりかねない・・・そんな可能性を聞いて。
「まぁ今の部分に関しちゃもしナタリア様に会って何か言われても、あっしが何も言ってなかったから気付かなかったとでも言ってくだせぇ。そうなりゃあっしが責任を取りやすんで」
「ちなみにどうお返しする予定で？」
「あくまであっしらの立場に立って考えた事を言っただけみたいな感じで返しやす。そちらのことはあえて言わなかったみたいに言ったらカドが立ちそうなんで」
「まぁそれが妥当ですね。ナタリア様の性格なら明らかに嘘であるとバレる演技でなければ、口にしたことはともかく口にしないことは余程でなければ激しく追求しないでしょうし」
それで何かあれば自分のせいにすればいいと言うくのいちにジェイドがどうするのかと聞くと、その理由についてを返されすぐに納得する。ナタリアならそれでいいといった物であると思った為に。
「良かった・・・これ以上モース様に失望されるような事にならないで」
（まぁモースがどうとかそんなこと関係なくなるんだけどね～、ティアに関してはね・・・）
そんな中で一人そっとティアは胸を撫で下ろすが、その声に一人気付いたくのいちはほの暗い気持ちを抱く。ティアをそのままにしておく訳はないという気持ちを。











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