女忍、舵取りに苦労する

「えっと・・・俺からもついでに聞きたいんだが、いいかな?」
「ん?な~に?」
「やっぱりナタリア様を連れていくとなったら、俺やルークの方にも責任は・・・来るよな?」
「そりゃそうだって。むしろないって事の方がおかしいと思うよ」
「っ、やっぱりそうか・・・」
ナタリアが未だ結論を出せぬ内に次にガイから確認の声が恐る恐ると向けられた為、くのいちが遠慮なく是と返すとやはりと苦い様子を浮かべる。
「まぁルーク様はガイと比べたら軽い処置になるとは思うけど、ガイは何で止めなかったんだって事を厳しく言われるだろうな~。ナタリア様が自らこっちに来たって事を差し引いて考えて、下される処分は最も軽くなったと見てもファブレを辞めるくらいは避けられないと思うけど」
「「っ!?」」
「っ!・・・そんな・・・」
(・・・一瞬、殺気が出てた。ファブレの事を出した時に・・・)
続けてガイの立場から見て最も軽いだろう処分についてを口にしたくのいちは、驚愕のリアクションを浮かべたルークとナタリアはそれだけと見るが・・・同じように驚いただけのはずのガイから滲み出た一瞬の殺気を感じ取り、内心で警戒を強める。
「おい、どうにかなんないのか!そんなことにならないようにするにはよ!」
「・・・確実にそういった事態を避けるために有効な手段はただ一つ、ナタリア様にお帰りいただくこと以外にありません。下手にナタリア様がここで食い下がり、どのような形でもルーク様に付いていくとなれば責任が降りかかる可能性が存在します」
「っ、聞いたかナタリア!俺はやだぞ、お前のせいで俺らが被害を受けんの!それでもお前俺達と行くってのか、あぁ!?」
「そ、それは・・・・・・」
しかしすぐにルークが焦りを浮かべどうにかと解決策を求めてきたため、思考を一時中断して付いて来させないことと強調して言えばルークはすぐさまナタリアへ詰め寄り、激しく責めるような物言いをすれば即答出来ずに口ごもる。
「・・・・・・分かり、ました・・・流石にそこまで聞いてしまっては、私のせいで皆様に迷惑をかけるわけにはいきません・・・私は付いていかないことにしますわ・・・」
「よっし!言ったな!もう嘘だとか取り消すとか許さねぇぞ!」
そして極めて不本意といった表情の上でとうとう行かないと絞り出すように言ったナタリアに、ルークは対照的に意気を上げて指を指しながら言質を取ったと告げる。
「・・・急かすような事を私が続けて言うのは心苦しいのですがナタリア様、すぐにバチカルに戻られてください。いつにバチカルより出たかは分かりませんが、ここまで来るのに相当に時間が経っている以上インゴベルト陛下を始めとした皆様もナタリア様がバチカルを出たとはもう考えられているはず。バチカルの皆様を安心させる為にも、出来るだけ早くお戻りするべきです」
「っ・・・分かりましたわ・・・では私はこれで失礼します・・・皆様、ご迷惑をかけました・・・」
更にくのいちがインゴベルト達の事を持ち出してきた事で、ナタリアは言い訳を言いそうになりながらもすぐに頷いて頭を下げた後に部屋を退出していった。
「・・・ふぅ~、助かったぜくのいち・・・ナタリアを説得してくれて」
「本当にな・・・ただナタリア様を連れていけばあぁいった事になる可能性があるって聞いた時は本当にヒヤッとしたよ」
「いえいえ、流石にあのままじゃずっと膠着状態になると思ったからあえてあぁ言ったまででさぁ(それにこっちとしてもあのお姫様に付いてこられちゃ困るしね~♪)」
それでルークとガイがホッとした様子でくのいちに話し掛けてきて、くのいちは内心の気楽さを滲ませるようにしながらも謙遜して返す。










12/20ページ
スキ