女忍、舵取りに苦労する

「まぁその辺りはディストが一度は来るって言ってたから、そこで話し合ってみようか。リグレット以外の意見も聞いてみたいし、私達だけじゃどうにも結論は出そうにないしね」
「そうですね・・・じゃあとりあえず、今はこのまま進みましょう」
くのいちはそんな空気を終わらせるように今はもうそこについてはと言うと、アニスも気持ちを切り替えて前を向いて歩き出す。孔明の教えもあって、切り替えの早さを学んだ為に。

















・・・そうやって話を終えた二人はルーク達と共に進んでいき、ザオ砂漠という砂漠を進む中でケセドニアまでの中間地点といった場所であるオアシスへと辿り着いた。



(あ~・・・日の本じゃ砂漠なんかなかったから、流石に辛いな~・・・何度かここには来てるけど、やっぱり寒いとかよりキツいな~・・・)
・・・一同は長い時間歩きづめだったことに加え、砂漠の環境の過酷さを考えしばらくの時間を休憩に使うと決定させた。
そんな中で一同から離れるよう木陰で一人休憩していたくのいちは、砂漠の環境という物にうんざりしていた。平均的な気温が高い上に砂地という歩きにくい場は、前世でも経験がなくキツい環境だと思い。
(っ、光が収束して足元に当たってる・・・何がってあれは、もしかしてディスト・・・?)
そんな時に足元の木の陰の中に、いきなり丸い光が姿を現した。その事にくのいちが光の発生元を見つけようとすると、オアシスから少し離れた砂地に一人で鏡らしき物を持っているディストの姿を視認した。
(ちょうどいいかな、こっちは休憩時間だから多少長引いても問題なさそうだし・・・)
そしてそのままくのいちは辺りを確認した上でまっすぐディストの方へ向かう。話を聞くために。



・・・それでディストと合流したくのいちはオアシスから二人が見えない位置にまで移動する。
「どうも、奥方」
「うん、ちょっとぶり~。それよりちょうどいい時に来てくれたね、ディスト。リグレットから頼まれて来たんでしょ?」
「あ~・・・それが本当の目的と言えばそうなんですが、実はアッシュに頼まれて私はこちらに来たんですよ」
「えっ、アッシュ?」
再会の挨拶もそこそこにくのいちは早速本題に行こうとするが、アッシュの名が出てきたことに意外そうに目を瞬かせる。
「どういった事を頼まれたの?」
「簡単に言うなら貴女方にザオ遺跡にいるから来いと伝えてこいと言われたのですよ。導師もそこにいるから来るなら来てみろと言った風にです」
「えぇ・・・なにそれ・・・どういうことなの・・・?」
それで訳を聞くくのいちだが、やたら挑発的なアッシュの言葉の要約に困惑した面持ちを浮かべる。
「どうされたのですか、奥方?いつもの貴女らしくなく、悩まれているようですが・・・」
「ん~、アニスとちょっとアッシュに関してその目的ってなんなのかって話し合ってたんだ。アッシュの行動は独断じゃあるけど謡将の為なのか、その逆なのかって・・・ただディストを寄越す事を考えると、謡将の為じゃないようだね。アッシュの行動っていうか、考え方は」
「・・・あぁ、確かに今までの行動を思い返す限りではアッシュの行動はどちらに寄った物なのかはハッキリしていませんでしたね。彼の性格上素直になれないだけ、ということも有り得ましたし・・・ただ、今回の件で謡将に味方をする気はないと確定したと見ていいと私は思いますよ。現に何故私が貴女方の元にわざわざ居場所をバラしに行かねばならぬのかと聞いたのですが、理由は聞くな、行かなければ殺す、リグレット達にこの事を言っても殺す・・・と言うように言ってきましたからね」
「あ~、確かにそこまで聞けばアッシュが謡将の為に行動しようって訳じゃないっぽいね。だってわざわざ私達を呼び寄せて神託の盾と衝突させようなんて、後々の事を考えたらあまり利口な選択じゃないし」
そんな姿を珍しいというディストにくのいちが訳を言うと、アッシュがどちら寄りなのかと根拠をディストは語りくのいちもまた納得する。今までと違い、ヴァンの有利に動くような材料はどこにもないからと。









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