女忍、苦労する

「・・・あっ、そろそろこっちに来るみたいだからルーク達の方に向かおう。一応イオンを探してるって体だから、ここで立ちぼうけだと怪しまれるかもしれないしね」
「はい、分かりました」
ナタリアについて二人の間で嫌な空気が流れていたのだが唐突に気配を感じたと動くことを口にするくのいちに、アニスもすぐに頷きその後に付いていく。



「・・・ん?お前らはくのいちと、アニス?」
「あ、ルーク様・・・」
「・・・どうしたのですか?特にその、丞相の奥様である貴女が何故まだここにいるのか分からないんですが・・・」
「私は旦那様からの頼まれごとがあってちょっと遅れてダアトに戻る予定だったんだけど・・・そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!アニスの話だと導師が拐われたんだ!」
「えっ・・・!?」
それで上の階層から天空客車で降りてきて歩いていたルーク達一行の前に来たくのいちは焦った様子を取り繕い、訳を聞いてきたティアにイオンが拐われたと返して一同に驚きをもたらす。
「・・・どういうことですか、アニス?」
「・・・物音がしたので起きたら、イオン様がいなくなってたんです。それで後を追おうと外に出たら、イオン様が連れていかれる姿が見えて・・・そんな時にお義母さんと会って、どうするかって行動を一緒にしてたんです。街の入口にはシンクがいて、私達が通れるような状態じゃないからモース様にだけでも話を通すべきじゃないのかって・・・」
「はぁ?シンクが見張ってるってのか?」
「困りましたね・・・それではバチカルを出ることが出来ません」
ジェイドがどういう理由かとアニスに聞くと経緯と共にシンクの名前が出てきたことに、ルーク達は困ったと言った様子になる。神託の盾がいるということは自分達も動けないという事実に。
「ん~、私達も神託の盾が導師を拐った犯人だって風には見てるんだけど・・・あぁいった風にバチカルの正面を見張られてたら流石に私もどうすることも出来ないんだよね~。見つからずに行くなんて余程隙を作らないと出来ないだろうけど一応バチカルの中でそんな事なんて出来ないだろうしさぁ」
「・・・貴女の腕前に関しては私も知っていますが、流石にそこまでは出来ませんか」
「まぁね~(実際は全然出来るんだけどね~、変装とか橋の下を伝っていくとか色々ね♪)」
くのいちはそれで自分もどうしようもないと強調するとジェイドはどこか信じていないと言った風な声を上げ、内心では素知らぬ顔で余裕で出来るといった声を上げる。
「・・・待てよ・・・いい方法がある、旧工場に行こう。天空客車で行けるはずだ」
「旧工場?・・・まぁいいや、どこかしんねぇけどそこにいきゃバチカルを出れるかもしんねぇんだろ?だったら行こうぜ・・・って、お前らはどうするんだ?何かモースの所に行くみたいに言ってたけど」
「あ~・・・私達も付いていっていいですか?バチカルを出て神託の盾の目をかいくぐるにはそこに賭けるしかなさそうですから、私達も一緒に行きたいんですけど」
「・・・まぁいいんじゃねぇか?お前らはすぐに神託の盾の所に行って、イオンを助けに入るんだろ?」
「はい、それは間違いありません。こっちの揉め事にルーク様達を巻き込むつもりはありませんから」
「ですが、イオン様が拐われたと聞いたら・・・」
「こっちの事は気にしないでいいよ。そっちはそっちでやることがあるでしょ?」
「・・・はい」
そんな時にガイがいい方法があるといったように発言してきたことで一同は旧工場に向かうことにし、ティアが一人イオンを助けたいと言い出したことにくのいちはすぐに首を横に振り不満そうに頷かせる。








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