女忍、苦労する

(う~ん、何て言うか気質的にあの熊姫様みたいな感じはするんだよね~このお姫様・・・でも決定的に熊姫様と違うのは、親が一番上の立場にいたかどうかを差し引いても君主に対して身の程ってのを越えた行為を容易にしてるんだよな~。目の前の姫様はそんなつもりはないって言うんだろうけど、熊姫様はお役目だって言われれば色々思いはしても我慢はするし)
そしてふと脳裏に浮かぶのは熊姫とアダ名で呼ぶほどには仲良くなった存在で、その熊姫とナタリアの違いについてである。



・・・くのいちには孔明同様、前世というものがある。ただその前世では孔明は相当に過去の時代、それも海を挟んだ違う国の偉人という状況も何もかもが孔明とは別の前世であった。ただその前世があったが故にくのいちは孔明に接触をし、結婚という流れになったのだがここではその事に関しては重要ではないので置いておく。

なら何故前世の事が出てくるのかと言えばその熊姫・・・正しくは甲斐姫が存在するからだ。

甲斐姫とナタリア・・・気質的に言うならどちらも男勝りと言うか気が強いと言うのは簡単に見てとれる。ただ甲斐姫は姫と名はつきはしても厳密には国主の娘という立場ではなく、国主の配下の娘という立場にあった。その為その国主からの命令であったりには意見を具申出来はしても、基本的に従う立場にあり甲斐姫もまたそれらに忠実に従ってきた。例え国が滅び、主が変わろうとだ。

・・・そんな甲斐姫と違い、目の前にいるナタリアは立場として真の国主の娘という立場にありその国主に対して怯むことなく反論を何度も繰り返している。これに関してはインゴベルトが罰さないからということに立場的に強く言える人物がそういないからとは言え、あまりにも我の強い行動としかくのいちは思えなかった。



(う~ん・・・インゴベルト陛下は許可しないって言ってるけど、ちょっと怪しいんだよな・・・この王女様、自分の意見は聞くまで通すって人物っぽいし・・・でも陛下が許可を出さないなら、このまますぐに出発って流れになって謡将の手が来るから船で出港は私達は出来なくなる・・・何か下手すると、城を脱け出して来そうな気がするんだよなぁ・・・この王女様の性格を考えると・・・)
・・・そういった甲斐姫との性格というか、違いがあると見るからこそくのいちはげんなりとした気持ちを抱くのだ。気質は似てはいるから仲良く出来ると思うのではなく、その違いがあるからこそ厄介な物と見る形で。
くのいちはナタリアがどうするかについての可能性を考えていくのだが、一番最悪の事態になる事も有り得ると考える・・・王女が自分のやりたいことのために城を出て、更に自分達の元に来るという可能性を。
(そうなったら色々面倒なんだよね。私達の所に脱け出してまで来るんだから余程うまい理由がないと帰るってなってくれそうにないし、キムラスカ側からも後でそっちが王女様をそそのかしただとか色々言われかねないし・・・何よりこの王女様がいると、旦那様の策に支障が出かねないんだよなぁ・・・一応王女様って立場になるんだし)
そのまま更に考えを深めていくくのいちはナタリアの存在が孔明の策に影響すると考える。
(う~ん・・・今の状況で王女様を襲撃なんてことしたら話が変な風にこじれる可能性が非常に高くなるしな~、マルクトのせいだなんて事になったらいくら大詠師様達が頑張ったって即刻開戦だってなりかねないし・・・どう考えてもよくない事態にしか転ばないだろうしね~)
そこでナチュラルにナタリアを襲撃しようと考えつつも、くのいちはすぐにそれはしないと考える。逆効果にしかならないという結論に至り。










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