女忍、苦労する

「それは・・・本当なのですか、モース様・・・!?」
「まだ確証はない、何せ確認が取れてないのでな・・・だがそこでお前の出番、というわけだ」
「私が・・・?」
「そうだ。本来なら第七譜石があるとなれば神託の盾の部隊に預言士をつけて捜索に向かうところだが、預言士はともかくとしても今の六神将は私の命令など聞かぬだろうし第一どこにいるかも分からん」
「えっ・・・と言うことは、モース様が六神将に指示を出している訳ではないということでしょうか・・・?」
「っ、何故私がそのようなことを命じねばならんのだ!むしろ勝手な行動を取られて迷惑を被っているのは私なのだぞ!」
「っ!・・・ホッ・・・」
(・・・どれだけこの娘、大詠師様に対して夢見てるんだろう・・・単に核心突かれたから誤魔化そうとしてる、みたいにも今の怒りは取れたはずなのにな~・・・)
それでティアに第七譜石についてを説明していくモースだが、六神将に指示を出していた首謀者ではないかと不安げに聞かれたことに一気に怒りを露にして否定を返していく。ティアは一瞬ビクっとしたものの小さく安堵の息を吐いたことに、端から見ていたくのいちは先程からうって変わって心底からの呆れを抱いていた・・・よく顔を合わせるどころか今回が面と面を合わせて会話するのが初めてに等しい、よく人格を知りもしない人間に地位だけを見て疑いもしないということに。
「・・・話を戻すが、六神将に指示を出しても効果がないのは目に見えている事もあるが今から部隊を編成してアクゼリュスに向かわせてもルーク達より遅れる事になるのは目に見えている・・・そこでもし本当に第七譜石が見つかるだけならまだいいが、キムラスカにマルクトのどちらかにでも第七譜石が取られるような事になれば厄介な事になる。かつて行われた戦争の理由のようにな」
「・・・オールドラントの歴史において、ユリアの詠んだ預言が刻まれた第一から第七までの譜石・・・これらを巡って何度も戦争が起きたことは私も勉強しました」
モースはすぐに気を取り直しかつてのオールドラントの歴史を匂わせるような話をし、ティアも知っていると返す。



・・・このオールドラントにおいてユリアの詠んだ預言の中身が刻まれた譜石は繁栄が詠まれた物であると、今昔問わずに認識されている。それが故にその譜石を巡って、度々各国の間で戦争が起こってきた。それこそ一つの国が滅びるレベルでだ。

その積み重ねの結果が今のこのオールドラントのキムラスカとマルクトの二大国による統制となったわけであるが、今も尚ユリアの詠んだ預言の重要性というものは誰もが認める物なのだ。そういった歴史があることを皆知っているから。ただ・・・



(その話には穴がありやすぜ~、大詠師様~。第一から第六までの譜石は確認されてはいるけど、第七譜石に関しては影も形もない。そんなものがそうそう都合よく、こんな時期に情報が流れてくる訳ないじゃん・・・ま、それに気付かないこの娘もこの娘だけどね~)
そんな光景にくのいちは嘲りを多大に含んだ笑みをひっそりと浮かべる。



・・・そう、元々ユリアの詠んだ預言は第一から第七までの七つあるのだがそれらは世界各地に隠されるように散らばっていた。ただそれも孔明の読みではいくつかの譜石は昔のダアトがある程度把握し、世界の流れを作っていたと見ているがそれでも第七譜石に関してはダアトの深部に属する人間でも行方を掴めてない代物だ。

そんな第七譜石が今、こんな降って沸いたようなタイミングで見つかるなど有り得るか?・・・有り得ないと見るのが普通では当然だが、ティアはそんな言葉を信じている様子なのである。









9/20ページ
スキ