未来と過去に繋がる後悔

「ではまずしばらくは色々と準備をするぞ。どのように教団に入っていくかもそうだが、私とそちらの間で齟齬が起きぬよう打ち合わせをしなければならんだろうからな」
「分かりました。ではそうしましょう」
それで決定に対して準備をと切り出した司馬懿に稲姫も頷き返し、二人は共に動くことに前進しようとまとまりあう。









「・・・旦那様~」
「・・・どうしました、くのいち?取り敢えずこちらにお座りください」
・・・一方で孔明の部屋。そこにくのいちが入室してきたことにより、孔明はベッドから起き上がり横に腰かける体勢になりつつ脇に座るように手を出すと、くのいちはゆっくりと近付きその隣に座る。
「どうでしたか、司馬懿さんとの話し合いは?」
「・・・彼とは実に有意義な話をしました。そして彼は私の後を継いでやると言ってくださいましたよ」
「えっ?司馬懿さんが?そんなことを言うような人には見えませんでしたけど・・・」
それで早速とどうだったのかと問い掛けるくのいちに、微笑を浮かばせた孔明の答えに意外そうに目を瞬かせる。
「あの方もこちらに来て、前の私と違う形で話をして色々と心境の変化が起きたのだと思われます。ただ私への反発に逆を行きたいという気持ちだけで全てを滅ぼすといったような愚かな選択はしないとは思ってはいましたが、そんなことを言われるとは思ってはいませんでしたけれどね」
「そうなんですか・・・」
「そういう貴女はどうだったんですか?私と違いそちらは仲がよかったようにお見受けしましたが・・・」
そんな様子に孔明が自身の予測を超えたと話せばくのいちも納得する様子を見せ、今度はそちらだというように言うと微笑をくのいちは浮かばせる。
「こっちはもう稲ちんと私達のその後についてを話すというくらいでしたよ。私達がもうあんまり長くないって話をしてから、昔話をしていって・・・稲ちんは忠勝さんの娘として恥じないようにってあんな風に固い感じになりはしたけれど、元々から優しい人だったんでこっちの話に付き合ってくれたんです」
「忠勝・・・日ノ本一の剛の者との事でしたね。話によれば戦場において傷一つつくことなく、敗走した戦から主を守りつつ戦ったとか」
「はい。まぁ忠勝さんについてはともかくとして、稲ちんはそんな感じだったから私は旦那様達みたいな話し合いはしていないんですけど・・・多分その話を聞いたら稲ちんも自分も司馬懿さんを手伝うって言いそうかなって感じました」
「それは彼女の性格からですか?」
「はい。稲ちん自分は守られるだけなんて嫌だって言うような人だし、事情を知ったらほっとけないって言うと思うんです。司馬懿さんも旦那様の話を聞く限りじゃ野心とかそんなものはないっていうか、色々と変わっててアクが抜けた感じがするからうまくいくと思うんです」
「成程・・・貴女はそう見ますか・・・」
そうしてくのいちが稲姫に関する事を話していって多少の雑談を行いつつ自分も協力すると言い出すだろうと言うと、孔明は少し考え込むような様子を浮かべた。









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