未来と過去に繋がる後悔

「そういった事情で結婚することが多かったローレライ教団の人間ですが、私見になりますが私の両親は殊更にそういった部分がある人達でした。ただそんな人達でしたが、ホドの戦争の中で二人は亡くなりました。理由としては預言に詠まれていたことからホドに向かうことになって、そこで敢えなく戦禍に巻き込まれたとのことです」
「貴様の言い方では教団の人間ではあっても、神託の盾に所属していないように感じたが・・・」
「名目上はある程度立場のある者もホドに向かわせる必要があったからです。預言保守派からしたなら表向きは仲介という名目で神託の盾を派遣していましたから、その責任者として派遣されたそうですが・・・何のことはなく単純に預言にその年での死が詠まれていたから、その時に死んでも構わないといった人員として大義名分の為に行かされたことが分かったんです。そしてそのまま還らぬ人達となってしまいました」
「・・・預言保守派からすれば合理的でいて死ぬべき者達を選出出来る基準であったからこそ、貴様の両親も含めて死んでも構わない人物達として送り出したということか・・・他ならぬ大事にしていた預言により」
「えぇ。そして死が詠まれた預言に関してを当事者に聞かせることなく誤魔化すのは当時の教団のやり方でしたが、それはある程度の地位にいる教団員でも変わりはありませんでした・・・当時の私はその事に関しては予想はしていましたが、成長していき教団の内に入っていくにつれてくのいちが加わったのもありその実態を調べあげ、行動を起こしたというわけです」
「そういうことか・・・」
そうしていかなことが孔明の子どもの頃に起きてそれらをどう見て、考え感じてきたのか・・・それらを聞いて司馬懿はなんとも言いがたそうに表情を歪める。と言っても司馬懿の性格上同情ではなく、預言大事の姿勢の愚かさに対してである。
「・・・正直な所として、私はこちらでの両親に関して感謝したことは教団の中でそれなりの地位にいたことくらいしかありません。前世での記憶があったことに加えて両親がそのような風にしか接してくれませんでしたので、特に恩義などを感じることはありませんでした。貴族などと違い成り上がることは教団という体制だから出来ないことはないと頑張ってきた人もいましたが、世界全てに影響力のあるからこそ外部や成り上がりの人間を受け入れるなどといったことは望まれないといった封建的な社会でしたので、神託の盾ならともかく教団の中で高い地位を築くのは外部の人間ではまず有り得ませんでしたからね」
「フン、そういった所はどこでも変わらんな。むしろ封建的であるからこそそうなりやすいというところか」
孔明はそこで両親達の立場に関してを口にし、司馬懿は妥当だろうと返す。広いようでいて狭い価値観を持つ者達が新しい者達を受け入れるのはまず有り得ないだろうと。
「・・・ただそれでもこちらでの両親であったことに加えて、教団から裏切られ見捨てられた事実が他の教団員に神託の盾の者達にも当てはまった・・・そしてくのいちの気持ちを聞いたからこそ私はせめてもの手向けの意味も込めて動こうと決めたのです。と言っても真実を知っても自身の死因も含め、預言に関してを未だに預言に詠まれたであったり預言はいいものだなどと信じられない可能性も十分に有り得るでしょうけれどね」
「信じたくないからで自身が殺されたことすら否定するか・・・愚かしいな、本当に・・・」
しかしそんな両親でも自分なりの想いを口にしていった孔明であるが、そんな想いを理解してくれないであろうとの言葉に司馬懿はまた苦々しく愚かと口にする。孔明の気持ちを汲み取れないであろうこちらの両親に対して。









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