未来と過去に繋がる後悔

「今となってはもう預言は過去の物になってるけど、預言の中身は守られるものであってそれに従うことで死んだならそれこそが本望・・・みたいな流れがあったんだ。それで今となってはもう違うけどユリアシティの預言を知っていて守るべきだって考えてた人達の行動から、ホドの戦争は起きてその時にこっちの私の親は預言通りになるようにと中身を知らないままに派遣されて死んだんだけど・・・その報せを受けた時に当時のダアトがやったことがホドが消滅したっていうのもあって死体を持ち帰れなかったから合同の葬式って形を取った上で、その時の葬式を取りまとめていた人が言った言葉に当時は愕然としたんだ・・・」
「・・・何と言ったんですか?」
「・・・生きて帰ってこれなかった方々は残念でしたが、預言に従って生きてきたのですから本望でしょう。ですので悲しむことなく皆様も亡くなられた方々を惜しむことなく、笑顔で送り出しましょう・・・って全く残念に思ってないとしか思ってない微笑を浮かべてそう言ったんだ」
「それは・・・」
「ただそれだけじゃなくて、私以外のほとんどの人がなら仕方無いっていうような顔をしてたんだ。それもそのほとんど以外の人っていうのは子どもしかいなくて、親がもう帰ってこないって知って泣いてる子どもをあやすことに意識を集中させてたんだけど・・・その時にこのオールドラントって所が、それも星全体に広がる預言を広めてるダアトって場所がこんななのかって思ってしまったんだ・・・預言って物に翻弄されるこの世界に人はなんて歪なんだろうってね」
「・・・そう、ですね・・・私はその時代の事についてはもう思い出話のような形でしか聞いてはいませんが、人の生き死にに対する想いの在り方を聞くと本当に歪んでいると思います・・・大切な人達が亡くなっているのに、預言なら仕方無いと思えることが・・・」
そうして遠い昔を思い返すように語る親を弔った時の話をしていくくのいちに、稲姫はその当時がどれだけ自分達から見ておかしな光景であり事態であったかと苦さを滲ませた表情を浮かべる。



・・・ここでくのいちは稲姫には言葉にはしていないが、そういった預言に従って生きてきたからと言った死んだ者達への言葉はかつてのオールドラントでは常套句の言葉であった。

ただ何故そういった言葉が常套句として用いられるようになったのかと言えば、主に逆の事を言われて面倒になるのを避けるようになったためだろうと孔明からくのいちは聞いた。預言に従って生きてきたのになんでこの人は死んだのだとか、そもそも預言は繁栄だったりを詠んだ物なんじゃないんじゃないかと言ったことを言われるのを避けるためだろうと。

その上で言うなら預言が誰一人違わず繁栄しか詠まれていないものだと言うなら、貧富の差や身分の差が生まれること事態がおかしかったのだ。具体的にはバチカルでの下層に住まう人々と上層に住まう人々のようなものである・・・あんな環境が国の首都であるバチカルで光と影のような形で存在していること自体がおかしなことであったし、預言が詠まれていた当時に下層に住まう人々の預言を詠んだとて決して繁栄に繋がるようなことは詠まれていなかったのはまず間違いなかっただろう。

だがそういったことにならなかったのは預言を詠むには預言士に金を払って貧乏な者達にはそもそも預言を聞く機会すら無かったことや、耳障りのいい言葉にすることによって預言に疑念を持たせないようにするようにしてきたからだ。しかしもうそれも今となっては過去の物となったのである・・・他ならぬ孔明にくのいち達の手によって・・・










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