軍師と女忍、未来を繋ぐ

「単純に食事の約束ですよ。最近では自炊もするようになって料理もうまくなっていると聞いたので僕も食べてみたのですが、実際に美味しかったので今日もご相伴に預かる予定なんです」
「ほほう・・・ルークにそんな趣味が出来たと」
「本人いわく、髪を切ってからは兜を被っていれば人前に出ても疑われずに外に出れるようになったとは言っても、兜をずっとつけっぱなしは気持ち的に心地好くないから自分の住まいで料理する方が気が楽だということから覚えたらしいです。それでそう聞いた僕も彼の話に付き合うのもそうですが、僕の話にも付き合ってもらってるんです。お互いに見知った顔で周りを気にせず食事を出来る事からちょうどいいガス抜きにもなりますし、今のルークはシンクとも対等以上に戦えるだけの強さもありますから何かあるとは思えませんが何かあっても大丈夫だと思ってます」
「ほうほう、そういうことですか」
そんな様子に穏やかな微笑を浮かべつつ食事をするだけだと話すイオンに、くのいちは反論することもなく納得して頷く。









・・・ダアトに内密という形で来たルークは、しばらくの時間をどうするかを考えた後に神託の盾の一員になることを選んだ。何か出来ることについてを考えたら、今の自分にはこれしかないという形でだ。

と言っても立場的に表立って顔を見せることは望ましくないことから、そうするなら普通の神託の盾のように顔の見えない兜を常につけるようにしなければならないというようにその時に話を受け付けたくのいちは告げた。髪を染めても顔はキムラスカでアッシュの事を見かけたことのある人が万が一ルークの事に気付いたならどんな事になるか分からない為に、と。

そのくのいちの言葉にルークはそれは承知の上で役に立ちたいといったことで、ルークは兜から髪の毛を出さないようにと長さを調節して切った上で神託の盾に入ることになった。とは言え最初は貴族生活の長かったルークの為に神託の盾としての心構えと姿勢を教え込む時間を取った上で、事情を知らない神託の盾の周りに配置することは望まれないという事から最初はリグレットにマルセルの近くに配置される事になった。

それでそうして活動するようになったルークだが、立場的に公に大活躍するのは色々と望まれはしないがかといって安穏としているだけというのも気持ちが良くない・・・と言うことから鍛練の時間だったり様々に学んで強くなって賢くなっていっているのだ。



現に三年経った今では元々の素養があったためだろうが、今となっては神託の盾で近接戦闘の強さで最強と目されるシンクと五分以上に戦えるようになっている。その為、もしもの時に備えてルークの実力を踏まえた配置場所は導師の私室近辺の警護担当となった。

そしてそこまで実力をつけていながら勉学にも励むルークが今最も力を入れて取り掛かっているのが料理である。単なる知識を身に付けるなら自分で勉強の仕方を覚えたのもあってやりようはあるが、料理に関しては知識もそうだが実践をしなければ経験は積めない。しかし食事に関しては美味しい物も不味い物も食欲は精々働き盛りの一般男性と同じくらいしかない事から、そうそう量は食べられない・・・故に料理に関してを真剣に取り掛かり旨いものを食べたいと願うルークの腕が上がるのも必然であった。

そしてそういった事を事情を知っていて気楽に接しあえることから知ったイオンは、プライベートな時間もルークと共にいることが多くなった。それこそ食事を共にし、今となっては地位は違えど本当に信頼をしあえる友という形でだ。










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