軍師と女忍、未来を繋ぐ

・・・二人が話したよう、預言通りの展開になったとしたならダアトもその影響を受けていただろうことはまず間違いなかったのは明白であった。

確かに戦場に関して言うならダアトが戦火に晒される事は表向きはマルクトとは敵対していないことから無かっただろうが、エンゲーブという世界全体の食糧の作られる場所が戦火に晒される・・・とはキムラスカから見ても自分達の食糧に関わることで気遣われることからそうはないだろうが、それでも預言の中身からマルクト領内にあるエンゲーブが普通に戦争が起きている中、食糧を世界に滞りなく輸出し続けられる環境が保てるかというとかなり無理があると言わざるを得ないのだ。いつキムラスカとマルクトの戦争の余波を受けるかもそうだが、マルクトが負けるという預言の中身を考えれば難民もそうだが野盗などに身を落とす者が出てくる者達は出てきやすい環境になりやすくなるために。

それに一応は預言に詠まれている内容に沿わせる為とは言え、キムラスカがマルクトへの報復と銘打たれている戦争なのだ。その上で預言に詠まれたようセントビナーを滅ぼしたからエンゲーブはほっといてグランコクマに直行してピオニーの首を取れば預言通りにすればはいおしまい、なんてほどマルクトが簡単にいかせるはずはない。むしろエンゲーブまでもを落とされてしまえば長期戦を行うには食糧の事情から不利なんて物ではなくなる為、マルクト軍はエンゲーブを拠点としてどうにか立て直そうと考えることだろう。

しかしエンゲーブは広大な土地もあるが、特に防護柵や城壁などといった魔物ならいざ知らず人の侵入を防ぐための仕掛けなど一切ない。その事からマルクトがエンゲーブを守りきる可能性はかなり低いと言わざるを得ないが、そうして追い詰められたマルクト軍が最終的に悪手であると分かりつつも取りかねない可能性である手段がある・・・それはキムラスカに食糧を渡さないようにするために根こそぎグランコクマに食糧を持っていくか、エンゲーブに火を放って食糧そのものを作れない環境にしてしまうことだ。



・・・前者に関してはまだともかくであるし、後者のような行動を起こすような可能性はマルクトの人間としてエンゲーブの重要性を理解していることからそうそうは起こりえはしないだろう。

しかし戦において敵の食糧をどうにか始末をつけようと考えるのは有利に事を進めるのは至極当然の事であるし、何よりもエンゲーブを落とされたらグランコクマを守りきれるかどうかと言われたら、かなり無理に近い状態にあると軍の人間が判断するのはまず間違いない。

ケテルブルクはグランコクマを援護するにはあまりにも距離がありすぎる上、キムラスカがもしもピオニーを守るためにとケテルブルクへと血路を開いて動き、逃げられたら目も当てられないことからケテルブルクも制圧されることだろう。そう考えればグランコクマは丸裸にほぼ近いことになるという状態だ。

そこまで来てしまえばいくら忠義を持ってだったり頭を働かせようとも・・・いやむしろせめてキムラスカに一矢をむくいるためにはどうしたらいいかと考えた上で、エンゲーブに火を付けることを考える者がいるのは有り得ないとは言い切れないと孔明は見ていた。食糧を奪ったり火を付けるといった戦は前世で何度も聞いてきたし、してきたこともあってだ。そしてそうなればダアトも無関係とは言えなかった事もまた容易に想像はついた。









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