軍師と女忍、未来を繋ぐ

・・・結論をイオンに任せることに関して、自分が決めるべきではないかと孔明も考えはした。人任せにして結論を自分で出さないのはどうかと。

しかし時が経てばどうしたところで孔明を始めとして一連の流れに関係した者達は亡くなることは避けられない上、イオンの子孫が担ぎ上げられる可能性は決して否定は出来ない。それを根本的にどうにかするとするならイオンが子どもを作らない事が最も確実な手段であり、唯一無二の方法だ。

しかし流石にイオンの事情については知らせるかどうかは置いておくにしても、立場上縁談も出てきやすい上にまだ年若いイオンに恋愛や結婚・・・ましてや子どもを作るななどと強制出来る物ではない。

だから孔明はイオンと話をした上でどうするかに関してを決めた。表向きの年齢として二十になる時にはイオン自身がどうするかを決め、その判断に従い孔明がサポートすることにする・・・そうした方がまだ色々と割り切れるだろうということでだ。ただ・・・



「そんなこと言うけど、恋愛とか導師としての立場じゃキツいでしょ?前なら預言に決められた相手だから結婚するべきだっていう風に言われてたから預言なら文句は出せない無風の政略結婚って感じにはなったけど、今じゃ預言は詠まれてはいないから自分で相手を見付けるなり交際をしているだとかに気をつけないといけないんだよ?」
「その点はまだ大丈夫ですよ。特にそういった誰かと付き合おうとかいう考えにはなっていませんから」
くのいちはそんな会話に誰かと付き合うことについての注意点を口にするのだが、イオンはそもそもから今はそんな気はないというように返す。



・・・孔明は感じていた。イオンはもう結婚に子どもを作ることに関してを考えてはおらず、そういった方面で事を進めるように考えているだろうということを。

この辺りは孔明よりの教えを受けて自身なりにイオンが考えて結論を出した物だと孔明達は考えた・・・導師の血筋を守ることの難しさに加えて、その血筋でなければダアトの代表者と見られる導師になれないというのは将来的に見てどうかというよう。

ただイオン当人にその事について聞いてものらりくらりと明言を避ける形でまだ先があるからというようにかわしていき、本音を聞けた試しはない。こういった部分に孔明からの教えを受けた影響を感じはするが、イオンに結論を委ねるというようにいった考えから強く言うこともまた出来ないのだ。

とは言えまだ時間はある上、結婚に子どもを作りたいという気持ちになったなら別方面でサポートする心積もりは孔明にはあるため、本人の気持ちを優先とすることにしているのだ。今更下手に強制をするようなことを言うのも良くないことだと思う形で。



「・・・しかし早いものですね。三年前のあの頃は色々と目まぐるしく時間が過ぎていきましたが、それでもこの三年より濃密だと思いました」
「油断ならないことに向き合ってきましたからね。無論、この三年も油断ならない事ばかりでしたが」
「それでも平和というものの有り難みというものを僕は強く感じています。もしヴァン達がいなくて僕や丞相達もいなくて、預言通りになっていたとしたらダアトは戦火は及ばなくともオールドラント全体は平和などとは程遠い状況だったと考えるとゾッとしますね」
「モースやユリアシティの方々のような預言保守派は高みの見物が出来る場所で安穏としていたでしょうが、長い目で見れば影響を受けるのは確実でしたでしょうね」
そんな話題からイオンはしみじみ今が平和であることを噛み締めるように話を変え、孔明もその話に乗り預言通りの時の予想を口にする。決して簡単な状況ではなく、いずれモース達にも影響はあったろうと。









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