軍師と女忍、未来を繋ぐ

知識の集まる場・・・これは孔明の趣味に近い部分もあるが、それはあくまでも好みというだけの問題である。なら何故そんな風な事を目指すのかと言えば、ダアトには障気の押し込みの際にも出したような過去に禁じられた禁書がまだいくつもあることを始めとして、そうした物を改めて研究していく環境を作っていけばオールドラント内での立ち位置を安定させることが出来ると見たからだ。

それにローレライ教団としての今までの形が保てなくなることに加えて、ダアトの存在意義を作るには何かの意味が必要だった。これがあるから新たなダアトにはまた違った価値があると思わせるような意味がだ。そうでなければまだ預言保守派のような人々は去りはしたがそれ以上のいても問題ない人々まで去られてはダアトという場がある意味が失われ、来訪する者も失われていくのは目に見えていたからである。

この人の出入りというのは大陸というには小さく、海に囲まれて他の大陸と地続きになっていないダアトの現状を考えれば決して来訪者が少なくなることは放っておける問題ではないのだ。人の行き来がなくなることはつまり内外の物や金銭の流通が無くなるということであり、交流の必要がないと見られたならダアトは孤立無援になりかねない状態にある。

それに今はまだ孔明やキムラスカにマルクトの両陛下が存命中であり良好な関係を築けてはいるが、孔明達が亡くなったならそんな場所攻め落としてしまえばいいと言われる可能性は決して否定が出来なかった。大して意味がない場所なら領土にしてしまえばいいだろうと考える者が出てくる形でだ。



・・・そんな事にならないようにする為にダアトを攻め落とすメリットよりも、そうした事によるデメリットを大きくすることが何よりだと孔明は考えたのだ。様々な知識が集まる場でありそれに伴う知識人も集まり、下手な手出しをすることがどれだけのデメリットを生み出すのかというようにだ。

そして幸いにもこの条件を達成するのに最適な人物として、ディストがいる事が何よりであった。と言うよりはこの案に関してはディストがいたからこそ孔明は思い浮かんだようなものなのだ。

ヴァン達が秘密裏に活動しているのをくのいちの諜報から確認していった孔明は、ディストの持つ技術力に着目すると共にヴァンやモースの間を自分の目的の為・・・かつての恩師をレプリカの体で蘇らせる為に動いていると知った時、即座にその恩師の復活など出来ないだろうこともそうだが、その為の材料など実際は持ってないだろうことは確信していた。かつてダアトにその恩師は所属していたとのことだがモースがそんな過去にダアトにいただけの人物のことを気にかけるなどあるはずないだろう上、ヴァンに至ってはその恩師が死んだという時はホドにいた頃だ。とても偶然からでもその恩師の復活の材料など持っているとは考えづらかった。

その為に内密にディストに接触した上で二人がそんなものは持ってないと孔明が証拠も添えて話すと、愕然とした後に呆然としていたが・・・それでも孔明とくのいちがちゃんとディストと会話をしていったことから、ようやくディストは恩師についてを吹っ切れた上で孔明達に協力することにしたのだ。都合のいい事ばかりを見て、現実から目を背けるのは止めると。

そうしてディストもそうだが周りの研究者達も流れで取り込むことが出来たことで、孔明は計画することにしたのだ。そうしてダアトを知識の場にすることに。









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