軍師と女忍、未来を繋ぐ

「まぁ適材適所って言うか、本当にイオンで良かったって思うんすよ。清廉潔白って印象を植え付けるには。というかユリアシティだったりモースが次世代のモースはこいつだ、みたいな感じで後進を育成してたらかなり面倒だったろうな~」
「性質上預言の中身を知るべき人間を絞らなければならなかったことに加え、下手に若ければ妙な仏心から躊躇してしまうんじゃないかという計算があったから行進の育成にこの人物が適任なのか探すなどそんな簡単には出来る筈もなかったのもそうですが・・・何よりモースにそんな後進を育てる気概など微塵も見えなかったと言うのが幸いでしたね」
そんな暴君についてからモースの後進についてを口にするくのいちに、ディストがそんな存在がいなかったのも当然と口にする。特にモースが人を育てる気が全く無かったことに関して良かったと。
「・・・何て言うか本当、今更ながらによく預言が詠まれる体制が維持されてきたもんだなーって感じるよね。預言に詠まれた未来自体は簡単には変えようはなかったにしても、謡将のように預言やダアト憎しってなって盛大な復讐を考えた人もいただろうになって」
「そんな行動もまた預言に詠まれていて、その上でその時のダアトやユリアシティの者達がそう言った預言が詠まれた人物達を影で葬ってきたからこそでしょう。都合の悪い預言は隠蔽することに上に報告するのが普通だったからこそ、そういった輩の凶行は抑えられてきた・・・ただそんなローレライ教団のやり方を昔から見て知ってきたからこそ、謡将は裏をかけたんでしょうけどね。自分の預言を詠ませることなどなくして適当に口裏を合わせてしまえば、別に問題行動など何もない・・・預言を見ても人を見ることなどないローレライ教団の人間の悪癖を利用したなら、表向き大人しくしてさえいれば誰も何も言わないのは結果が指し示していますからね」
「そういうとこも含めてずさんだったからこそよりそう思うんだよね~。これより前に出てきてもおかしくはなかったんじゃないのって」
くのいちはそんな話の流れからヴァン以前に行動を起こした者がいなかったことを口にし、ディストがこういう理由だろうと共にヴァンがうまくいった理由を口にしていくと分かってるというように緩く返す。自分もそういったことは分かっていると。
「・・・どうせでしたら、丞相にその辺りの事をまとめた本を出したらと考案してはいかがですか?三年という月日が経ってダアトも落ち着きましたし、そういった歴史考察の本も今なら昔と違って禁書扱いされないどころかベストセラーも狙えるかもしれませんよ」
「ん~、確かにそれはいいかも~。ダアトの財源の一つになるなら旦那様も頑張ってくれるだろうし、今後のダアトが向かうべき方向に合致もしてるだろうしね~」
そんな姿にディストが本を書くように勧められないかとくのいちに提案すると、緩くもダアトの方針と合致すると反対するような言葉は口にしなかった。いい案だというよう。









・・・ローレライ教団をかつてのローレライ教団としての形から大きく変えるとしはしたものの、どういった形にするのかに関してが孔明達の中で課題であった。預言を詠まないローレライ教団から人が離れるのは当然であるとは覚悟はしていたし、預言復活を願う者達への対処もしてきた・・・その上でどちらも願わず残った人々がいる。そんな人々が所属する新たなローレライ教団の方針をどうするか決めるのは当然の責務であった。上に立つ者として、下に立つ者をこういった方針で新たに活動していくと言ったように導くのは。

ただその方針に関しては孔明はどうするかに関しては大まかにではあるが、ヴァン達をどうにかする前からある程度決めてはいた・・・その方針が何かと言えば、ダアトを世界の知識の集まる場とする事である。









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